『第7回目 私的音楽と波乗り体験』
僕がはじめてギターを手にしたのは、今を遡る事30数年前。高校二年生の夏休みの事だった。気怠い真夏の昼下がり、横浜の日の出町にあった友人宅を訪問した僕は、その時友人がコピーしていたCS&Nの“青い目のジュディ”に合わせて、産まれてはじめてギターを掻き鳴らしたのだった。ご存知の方もいると思うが、あの曲は、スティーブン・スティルス得意のオープン・チューニング。それからしばらくの間、レギュラー・チューニングのギターは僕にとって鬼門となった。オープン・チューニング以外は、何も弾けない偏ったギター少年。それが僕だった。ついでに申し上げておくと、これは、はじめてサーフボードの上にテイクオフする、4年も前の話である。
高校を卒業し、大学への入学が決まった春休み。その日の出町の友人に連れられて新宿のLIVEハウスを訪れた僕は、ある音楽との衝撃的な出会いを経験する。それが、京都からやって来たウエストロードというバンドが奏でたBLUESという音楽だった。もちろんそれまでBLUESを知らなかった訳ではない。クラプトンをはじめとするブリティッシュ勢の音を通して、3コードのブルース進行は知っていたし、何より幼少の頃聴いて痺れまくっていたエルビスは、この3コードの申し子だった。しかしその新宿での生のBLUESとの出会いは、同年代の日本人が奏でているという事とも相俟って、ミーハーなロック少年を動機づけるには十二分に衝撃的な出来事だったのだ。な訳で、この日BLUESにハートを鷲掴みにされた僕は「とにかく俺もこれをやろう!」という思いから、まずはエレキギターを買うために、翌日から、肉体労働を中心にありとあらゆるバイトに邁進するのであった。「イェイ! I'm A Bluesman!」ってなもんだ。そこから、ミュージシャンのとっぽいライフスタイルに憧れた、可笑しくも哀しい、僕の青春時代が幕を開けたのであった。波乗りと出会う数年前の事である・・・。
ここ数年、個人的にはかなり喜ばしい状況というのがあって、それは波乗りと音楽のランデブーという現象です。専門誌などもこぞって“サーフ・ミュージック”特集を組んだりしているし、いよいよ本格的な夏到来という事なのだろうか、レコード会社各社も海系アーティストを元気に大プッシュ!MTVなんぞで洋の東西を問わずサーフ系ミュージシャンが露出してますねえ。さてこの現象は、僕のような波乗りより先に音楽に染まった中年サーファーにとって極めて良い感じです。この現象や、The Testridersの活躍なんかにも刺激されて、ここいらでいっちょ元気よくやってみようか!なーんて気分になってるのね実は。という訳で、金沢文庫のThe Road&The SKYで9月17日にLIVEやります。よろしくね。
http://www.theroadandthesky.com/
さて、次回からこのコーナーは、リレー・エッセイとなります。お次に控えるのは、僕のポン友でビッグウェイバー、現在はinter-FM“ Lazy Sunday”などを中心に、ラジオDJとして活躍中のジョージ・カックルです。お楽しみに。
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