最近は、ググッと気温も下がり僕の住む北海道でも紅葉が終わりを迎え、本当に何の見所の無い季節になっている。
先日、後輩が店にやってきて。「いや〜灰色の季節到来ですね。はい、これ灰色の季節ミックスです。」と言ってCDを手渡してくれた。
この何とも言いようの無い季節に彼が名前をつけたのだ。と同時に僕の中で「灰色の季節」というものがインプットされた瞬間でもあった。
そして、その手渡されたミックスCDの内容は、まるで終末世界の様なシティポップともニューウェーブとも、、、言えない、、
この季節と同じように何とも言葉にいい表せない絶妙な内容であった。彼はセンスがいい。言葉選びもそうだが感覚としてのセンスがだ。
決して子供の頃からお世辞にも勉強ができたわけでもないが、彼の知識や言葉のチョイスや行動にはインテリジェンスを感じる。
何とも不思議なもだ。でも、よくよく考えるとそういった友達が周りには沢山いる様な気がする。
特に、横乗り、音楽、洋服界隈の人だ。
(ちなみに前記した後輩も酪農家をしながら全国にツアーに行くようなハードコアバンドとDJをやっている)
子供の頃どちらかといえば「劣等生」であった我々の様な人間が、どうしてこうも絶妙なセンスを持って、楽しく豊かに生活していけているのだろうか?
そこには今の教育機関が目指しているある「能力」を知らず知らずのうちに身につけていたからなのだと思う。
それが「非認知能力」という耳馴染みの無いものなのだ。
(この「非認知能力」とやらを子供達に叩き込もうと「認知能力」の塊の様な大人が躍起になっているのが何とも面白い所でもある。)
「非認知能力」を紹介する前に逆の言葉の「認知能力」というものをざっくり説明しますと、
ほんとにザックリ言って「学力」や「IQ」の様な点数や数値で測れる「見える化」されているわかりやすい賢さの事です。(多分)
非認知能力はその反対で見た目にはわからない数値化できない能力のこと。
例えば「発想力」だったり「コミュニケーション能力」だったり「やる気」だったり、この他にもさまざまあますが、
形にできない「なんかあの人やれてるよね?」っていうのがそれです。
この説明を聞いただけで思い出す顔が何人かいるのではないでしょうか?
では、なぜ僕がこの「非認知能力」について思う所があるのかと申しますと、10数年、幼稚園教諭として子どもに関わり、
研修などでこの重要性を口うるさく教えられてきたからです。
そして、現代を生きる子供たちにはまさに「これ」が必要なのだと保育の現場で体感したからなのです。
わかりやすい例にこんな話があります。大学にあまり行かず単位が足りなくなった学生がいて、見るに見かねた教授が
「夏休みの間、私と一緒にアメリカに行って生活すれば単位をあげます」と言ったそうです。そして彼はアメリカに教授と一緒に行くことになりました。
教授は彼に「現地の人とコミュニケーションをとり友達になりなさい」という課題を出したのでした。
スケートボードが得意であった彼は、拙い英語とスケートのセッションでみるみるうちに友達が出来て教授は大変に驚いたそうです。
これって言葉はそこまで知らなくても一つのツールや意欲や社交性がなせる技ですよね?(みなさんもこんな経験おありでは??)
逆に(これは悪いと言っている訳では無く、一例として。。)英単語を一万語知っていて外国人とコミュニケーションを取る方法は知っているが、
引っ込み思案な性格や人見知りだったらどうでしょう??そうなるといくら言葉を知っていても仲良くなりにくいですよね?
その大学生の彼には幼い頃からスケートボードで培ったコミュニケーション能力が身についていたのだと思います。
子ども社会でもそうで、いくら早い段階で文字が書けても、様々な知識があっても友達が作りにくかったり、周囲と上手く関われない子って結構いるんですよね。。
それで、数年前に学童保育の担当をしていた時に遊びの中に意識的にスケートボードや雪板、坂を自転車で走る事を取り入れてみたんです。
学童保育には小学1年〜小学6年生までの子どもがいて結構な遊びにバラツキがあるんですが、これらの遊びを提案すると、どの年齢の子も飛びつくんですよね。
それで年齢関係なく順番を決めたり教えあったりリスペクトしたりするんです。それで年下の子が案外上手くて「チャンプ」ってあだ名になったり。
普段はなかなか年齢が違うと相手にしてもらえない事や、子ども扱いされる事が多かったりするんですが、その時はみんな対等に評価してもらえるんです。
これって子どもの中でそれは言葉にできない高揚感があると思うんですよね
スノーボード、スケートボード、サーフィンっていう遊びのパワーだと思うんですよ。
そして、それさえあれば、大人がいなくても勝手に集団を作り、ビビリながらでも先輩に話しかけ、情けないけど年下に教えてもらう。
そんな人間形成の場ができるですね。
身体の成長もでき人間関係を学ぶ場にもなるって一石二鳥ですよね??
だから、もうこうなったら大人は手も口も出しちゃいけないんです。だって自分たちでルールを決めて遊んでるんですから。それで十分なんですよね。
そんな経験を子どもの頃にすると、必然的に大人になっても幅広い年齢のコミュニティーに参加した時に同じ事が出来るんだと思うんです。
国籍も言葉も趣味も違う人と。それとその中でどうにか目立ってやろうとする「センス」それって生きていく中で一番重要な事なんじゃないかな??って思いながら保育をしてたんです。
「センスがいい」ってそれだけでもう優勝なんです。勉強できなくても友達が多いとか頼りにされるとかこれは学習だけでは獲得できないい所じゃないかな〜。と感じるんですよ。
だから、その大学生の話を聞いた時に(もちろんちゃんと通うのが一番ですよ!!!笑)スッと心にはまったんですよね。
これでいいんだと。でもこんな事を保育に還元したいなと思ったのは他でもない僕自身が、子供の頃に体験したあの横乗りのコミュニティーがあったからなんです。
だから、もしこのコラムを読んでいる保育(子育てでももちろん)に関わる人がおりましたら是非できる事を試してほしいと思うんです。
だって、メイクして「イェーイ!」スラムして「イェーイ」って体験を知っているのは難しいお顔をした上司や親じゃなくて貴方なんですから〜。
長くなりましたが、本当はこんなに偉そうに保育を語れる人間ではないんです。だってもう先生じゃないんですから。。。
今はコーヒー牛乳やの店主なんですから〜。
次回は、なぜ田舎でコーヒー牛乳やをやっているのか??そんなお話をしたいと思います。
最後までお付き合いしていただきありがとうございました。
デガラシ
※この内容はあくまでも私個人が考えるものであって、それぞれ学びの観点や重要性は異なるので決して「認知的能力」を否定している訳ではありません。
また、私の主観的解釈で内容をお伝えしています。解釈や説明が間違っている部分がございましたら温かい目で見守ってくださると大変嬉しいです。笑
デガラシ(橋本大生) プロフィール
1987年オホーツク興部生まれ&在住。
幼少期よりスノーボードに耳まで浸かる。
スノーボードと同じくらいコピー用紙の裏が好きな思春期を過ごし、
気が付けば「デガラシ」としてアーティスト活動を開始。
「UNITmfg」「GREEN CLOTHING」「horizon」「BBAskate Club」グラフィックデザイン担当。
スノーボードブランドUNITmfgではデザイナー兼ライダーも務める。
2022年より地元興部にコーヒー牛乳と洋服とスノーボードの店「CLC」をオープン。
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個人:@degarashi_okp
ショップ:@city_lights_coop_okp