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コラム

橋本敏宗『サーファーズイヤーとの決別』

2025/03/05 tag: 橋本敏宗

今の自分にとってサーフィンは人生そのもの。
サーフィンをしてなければ今の仕事もしていないだろうし、同じ目標を持った仲間とも知り合っていないかもしれない。
波と向き合い、自然と一体にになった瞬間は、何物にも代えがたい喜びを与えてくれます。
大切な仲間と同じ瞬間を共有していれば喜びは倍増。

しかし仲間とこの快感を長く共有したいのであれば、体力や技術の維持はもちろん。
40代を過ぎれば体のメンテナンスは重要となってくる。

今年1月に長く快適にサーフィンを続けられるようサーファーズイヤーの手術を受けてきた。
このコラムを読んでいる方はサーファーの方も多いと思われるので、サーファーズイヤーについて、住んでいる千葉からは遠い大阪の医院を選んだ理由や手術スケジュールを書かせていただきます。

サーファーズイヤー(外耳道外骨腫)の発症率は、サーフィンを長年続けている人の約60~80%にみられると報告されているようで、特に10年以上サーフィンをしていると個人差はあるようですがリスクが高まってくるようです。

原因は冷たい水や風が耳の外耳道に長期間当たり続けることで、骨が異常に発達し、耳の穴が狭くなる症状で進行すると難聴や感染症になります。

サーファーズイヤーの予防法はサーフィン中に耳栓を着用することや、冷たい風から耳を守るヘッドキャップを着用すればある程度進行を遅らすことが出来る。
しかし耳栓はサーフィン中に会話が聞きとりづらく、平衡感覚が鈍る感じがどうも苦手で予防をほとんどしてこなかった。

そのため骨は年々発達し、耳に入った水が抜けづらくなり中耳炎や外耳炎を発症、ひどい時は朝起きると膿で耳が塞がり聞こえない時もあった。
症状が悪くなるたびに耳鼻科に行き、処置の繰り返し、医者には「早く手術を受けた方がいい」と毎回のように念を押されるが自分のことにはなかなか動かない性格のために腰が重かった。

同じような悩みを持つサーファーが多く、大阪にサーファーズイヤーを専門に施術するプロフェッショナル医師がいることを前からよく耳にしていた。
昨年同病院でサーファーズイヤーの手術を受けた方と話す機会があったことにより急発展していった。
その友人はその場で先生に連絡してくれ電話診断が始まった。
優しい口調で一から十まで丁寧に説明してくれた先生はサーファーで
「心配ない。数々のサーファーの耳を何千と観てきた」
と自信に満ちた力強い言葉と親身に寄り添ってくれた先生にすぐに託すと決め、その電話で手術前の検査(手術日約1カ月前)と手術日を予約していた。
毎週のように全国から先生のもとに同じ悩みを持つサーファーからのオファーが殺到するため数カ月前からの予約が必須で、暖かいハイシーズンにサーフィンしたいので冬場により手術需要が高まる。

・手術アプローチの仕方は主に2種類
(1)耳の後ろを切開し外耳道へアプローチ
(2)耳の穴から直接外耳道へアプローチ
(1)だと施術はしやすいが術後回復の早い(2)を先生は採用

・外耳道の骨の隆起を削る方法
(1)ドリルで骨を削る
(2)のみを使い骨を削る
(1)だと削った範囲が分かりづらく神経を触ってしまうリスクが高まる。
難易度は高いが慎重に一個一個をノミで鼓膜に触れないよう骨をシェイプしていく。
しかも薄皮は外耳道を入ってすぐを切開し骨を切除し薄皮をもとに戻すため、更に回復が早まる。

順調にいけば術後2~3週間もすればサーフィンできるのもこの医院での強みである。

他の医院では即日退院の局所麻酔を行っている病院もあるらしいが、意識があるんじゃ両耳の骨を削る振動や音には自分は到底耐えれない。

一方の老木医院では全身麻酔のため、眠っている間に痛みを感じることなく全て完了と、術中や術後にかかる患者への負担を最小限にしてくれる。

<2024年12月27日 術後前検査>
聴力検査、レントゲンを行い耳の現在の状況を確認したところ、左耳98%閉鎖。右耳95%閉鎖という状況。
先生「エクセレント(最高点数)。数年前の自分なら手術前に寝られないくらい緊張するくらいの難易度だが、経験値を積んだ今ならキレイに手術をすることが可能。心配ない」
と言ってくださった。
その後に内科で血液検査と尿検査や血圧測定の診療を受け全身麻酔をするにあたって問題ないかを確認するが異常なし。

検査での来院スケジュールは日帰りでも可能だったが、手術日前後は体調面の問題もあるため検査日前後が昔の友人を訪ねて3泊4日で大阪を満喫した。

<2025年1月20日 手術当日>
9時からの手術だったため前入りでホテルに泊まりチェックアウトして病院へ向かった。
準備をしてベッドに横たわり手術室へ。
麻酔をして天井を見上げたと同時に意識はなくなっていた。
先生の声で目が覚める「手術は無事に終わったよ。落ち着いたら話そう」といわれまた眠りについた。
手術から6時間近く寝ていただろうか。
病室で目が覚めると耳の出血と綿が入っているため聞き取りづらい。
病室で提供された夕食をとるが朝から何も食べてなかったので物足りなく思っていると、帰宅する先生からタコ焼きの差し入れをいただいた。
こういうときの優しさは本当に有難かった。

<翌日の朝に術後検診>
「両耳で合わせて13個の骨を削ったと」手術の難しさと今後の自宅近くの耳鼻科への紹介状を書いていただいた。

翌日に術後のもう一度経過検査のため近くのホテルにもう一泊。
まだ多少の出血はあるものの経過は良好と判断。
3泊4日のミッションを無事に終え千葉に帰省した。

帰省後3日間はかさぶたが耳をふさいでいて右耳のみ聞こえないが、自然にかさぶたも取れて両方の耳が開通した。
顎部分や耳に違和感はあるものの日を重ねるにつれて次第に無くなっていった。

術後のお風呂では耳に入った数滴の水が、頭を傾けただけで、ツーッとスムーズに流れ出た。
健常者であれば当たり前なことだが、10年以上ぶりの現象に本当に感動した。

サーフィンやお風呂やプールなど、水に入った後のわずらわしさが全く無くなる日常。
もしサーファーズイヤーに悩んで手術を少しでも検討している方がいるのであれば、残りのサーフィンライフに耐え得る新しい耳を与えてくれた老木医院の中西先生に相談してもらいたい。

今年6月に、人生初となるボートトリップでモルジブに仲間と行ってきます。
中西先生、本当にありがとうございました。

 

橋本敏宗 プロフィール
1979年生まれ
人生一度きりをモットーに
千葉県長生郡一宮町、東浪見ポイントまで歩いて5分、複合型宿泊施設を展開
Pension THIRD PLACE @pension_thirdplace
Pizza&BBQ TORAMI BEACH CLUB @torami_beachclub
Dog spa&Hotel MAGIC WANDS @pet_supa_hotel_magicwands
Surf shop SEAMILES @seamiles_surfshop

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2025/2/10 配信

INTERSTYLE 2025 開催報告

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