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コラム

稲村樹『第3回 ライダー』

2021/01/13 tag: 稲村樹

この業界でよく使われるライダーという言葉を知ってますか?
人によって捉え方は違うかもしれないが、一般的にメーカーからスポンサードを受けているスノーボーダーの事をそう呼ぶことが多い。
もちろん、その中でも物品のみの契約をしている人から金銭契約をしている人まで、様々だ。

ちなみに、かつての僕は圧倒的な滑りのスキルでメーカーと十分な金銭契約を結ぶ事で、滑ることに100%集中できるライダーを目指していた。幸運な事に、一時はそのような環境を手に入れた時もあったが、今は違う。そんな事を出来るのはごく僅かの人達。それを出来る人達にはリスペクトしかない。

Inamura Tatsuki Photo
自分のメインスポンサーはSALOMON MURASAKISPORTS

ライダーとメーカーの関係とは?
メーカー側はライダーと金銭契約を結ぶのはギアを売るため、または会社のブランディングのため、それらに繋がる人と契約を結ぶ。それはライダーがメーカーのマーケティング部分を補うということだと思っている。ということは昔の僕が一番の軸で考えていたスキルがあることは直接的にライダーとしての評価には繋がらない。あくまでも滑りのスキルということは付加価値に近いのかもしれない。そのスキルを持ってなにをするのか、それが最も重要なことだったと最近は感じている。その裏返しでスキルがそこまで無くても、やり方次第で評価される時代ともいえる。

それもそうのはず、スノーボードは陸上とは違う。
何秒で走れるとか、どれだけ高く飛べるかではない。
どちらかといえば、活動を自分で創造するため、クリエイターに近いと思っている。
以前は情報を伝える手段が限られていた為に取り上げやすい大会やイベントで活躍する人が評価されていたが、今は誰でもSNS通じて活動を発信できる事もあって、みんなが見たいと思っていたのはアクロバティックなスノーボードよりもきれいな雪煙が上がるターンだったり、ズレのないカービングだったりとスノーボードに対する価値観も多様化している様に思う。

そう考えるとインフルエンサーと呼ばれる人達が評価されるのも自然な流れ。
情報発信が上手い彼らはスノーボードを通じて様々な人たちに自身のスノーボードを届けることができる。これはかなり強みであり、魅力がある。

Inamura Tatsuki Photo
状況を把握して、その都度判断するというバックカントリーは全ての本質なのかなとよく思う。

結局、ライダーというものに明確な回答は無いがそれを探っていくのも、ライダーとしての楽しさなのかもしれない。最近はそんな事も考えながら、何がベストなのか常に探ってます。
正直な所、もっと少し早く気づきかった。。(笑)

次で最終回。
テーマは今の自分が考えている事と今後の目標に関して。

 

稲村樹プロフィール
愛知県扶桑町出身。95年、現在25歳。
小学生の頃からスノーボードを始め、インドアゲレンデやジャンプ練習施設などで培ってきたスキルを発揮し、スロープスタイル、ビックエアの国際コンテストをメインに活動してきた。
また “HYWOD” の一員としても、映像を通して自分のスタイルを表現。数々の世界中のコンテストを巡り、スキルを磨きあげてきた。 近年では、滑り手の活動以外でもコーチングや大会運営など精力的に活動の幅を広げている。 

 

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