今回のテーマは自分が関わることが多くなったジュニア育成について。
最近はジュニアの子たちが増えてきたこともあって、育成がとても盛り上がっている。
その恩恵なのか日本のキッズ達のレベルは世界でもトップクラスといっても過言ではない。
キングスなどの安全なオフシーズンのトレーニング施設があるのもその要因の一つだろう。
育成とはなんだろうとよく思うことがある。
育てておおきく立派にすること。教育や訓練すること。
などネットには書いてある。笑
トップ選手を育てること、スノーボードを通して人としての成長を促す、などそこに対しては教える人それぞれの考えがあるだろう。
なぜ自分が育成に携わるようになったのか。
“今度、Rider Worksという選手育成をはじめるんだけど、手伝ってくれない？”という一本の電話がきっかけ。
Rider Worksというのはプロスノーボーダー育成を行っている組織。
ここの関係者には僕が選手時代にお世話になった人達だ。
当時の僕は丁度、怪我をしていてリハビリ期間の真っ最中だったこともあり、手伝います！と即答したのは今でも覚えてる。
昔から育成に携わることを思い描いていた訳ではないが、いずれはそういう立場にという気持ちは心の片隅にあった。時間の問題ではあったように思うが、これが全ての始まり。
そんなこんなで、育成を行うという立場に一歩足を踏み入れることになった。
SAJの外部コーチとして、スイスに行ってみたり、US OPENに参加してたり。
自分が企画してサロモンのジュニアチームの子達を連れて海外に行ってみたり。
これは自分が企画してやってみた分、大変な思いもしたけど(笑)、一緒に行った子達の活躍は今の自分の楽しみの一つ。彼らと過ごした時間は大切な思い出。
また違った形で将来、彼らと絡むことが出来たら面白いなー。
こんな感じで色々と携わってきて、自分には思うことが出てきた。
技術を教えるのはとても良いこと。それで彼らをサポートして、コンテストで活躍をする姿を観れるなんてとても幸せなことだろう。
しかし、コンテストというのはスノーボードのほんの一部分にしか過ぎない。
おまけにコンテストで活躍できる期間というのはとても短くなってきている。現に今のスノーボードコンテスト事情で言うと20歳という年齢も若手という分類にはいらない。
では、そのコンテストという目標に向けて腕を磨いた子達はどこに向かうのか。
もちろん、そのまま突き抜けて、世界でもトップクラスのスノーボーダーになるという道、それ以外には自分達でムービーを制作し、多くの人達に見てもらうプロ活動もある。また、滑り手としてではなくコーチになったり、全く異なる道を進むという例もある。
何が良くて何が悪いとかではないが、選択肢というかその道をもっと多く示していきたいなと思うことが増えてきた。
それは今後の自分が携わっていくなかで最もやらなくてはいけないことなのかなと勝手に思っているが、今の自分の経験値ではまだはっきりと言えないのも現実なので、どういった道があるのか僕自身が実験台となり、今は試している真っ最中。
コンテストが最も評価されてきた流れも徐々に変わりつつある。
どういったスノーボーダーが今後必要となってくるのか、求められるのか。
自分もそこを見極めながらも、次世代の子たちに教えてあげられる存在になりたいといつも思う。
今ではそれが自分がライダーを続ける理由の一つ。
それではまた次回。
稲村樹プロフィール
愛知県扶桑町出身。95年、現在25歳。
小学生の頃からスノーボードを始め、インドアゲレンデやジャンプ練習施設などで培ってきたスキルを発揮し、スロープスタイル、ビックエアの国際コンテストをメインに活動してきた。
また “HYWOD” の一員としても、映像を通して自分のスタイルを表現。数々の世界中のコンテストを巡り、スキルを磨きあげてきた。 近年では、滑り手の活動以外でもコーチングや大会運営など精力的に活動の幅を広げている。
