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コラム

古川尚子『第4回 誰かの心に残る時を共に過ごす』

2024/04/03 tag: 古川尚子

今回、コラムを書かせてもらうにあたり自分の活動を振り返ってみると、出会ったみなさんの“特別な日”に関わらせてもらっている幸せ者の自分がいる。

第1回のコラムでは、アダプティブサーファーとの出会いから、自分のちょこちょこしたサポートが人の役に立っていることを実感し、自分のライフワークにすることを強く意識できたこと。
第2回では、私の大好きな海を誰一人もらすことなく楽しんでもらえるよう“ユニバーサルビーチ”という環境をつくっているということ。
第3回では、四季のある国ニッポンで、風・匂い・遊び方など様々変わる環境を全身で受け取ってもらいたいという思いからアダプティブスキーの世界をのぞいてみてほしいということ。
こんな感じで書かせてもらってきた。

最終回、みなさんにお伝えしたいことは、障がいがあると「あきらめること」がよくあるということ。
「あきらめている」わけではなく、「できるのかどうだかわからない」ということなのかもしれない。
日常生活で様々な小さなスムーズにいかない経験を蓄積しているから、何ができて何ができないのか想像すらできないことがたくさんあるらしい。
「無意識のうちのあきらめ」とも言えるのかもしれない。
だから、私たちは誰かの「やってみたい!」をきっかけに、“できる方法”を模索し、実現するために道具を駆使し、どういうサポートをするとより楽しんでもらえるのか、安全確保と照らし合わせながら、遊び方を考えていっている。
考えていると、案外、私たちアウトドアの視点から考えた方法より、ゲストが日常使用している自助具や方法がしっくりくる場合もあるので、事前に話し合いをして、遊び方を決めるのがベストに近づく。
一度できたことが次の人にピッタリはまるわけではないけれども、参考にはなる。
そうして、その遊び方と自然が調和した瞬間のゲストの表情は最高の贈り物である。
どうやら私は彼らの感情に突き動かされるのが好きなようだ。

昨年10月、イベント名はこれではないけれど、「“医療的ケア”があってもみんなと一緒にサーフィンしませんか?」という企画があった。
ここにも、私は、車いすの車輪が砂浜に埋まらないようにビーチマットの設置で参加した。
「サーフィンできるなら!」と関西から辻堂までやってきた彼女は、母親と一緒にサーフィンを楽しんだ。
これがご縁で、2月に入ってすぐ、デュアルスキー体験会を兵庫県で開催した時にも遊びに来てくれた。
雪が降らない街で生活している彼女は、服装をはじめ、何から何まで初めての事。
デュアルスキーでゲレンデを滑走した彼女は、大いに楽しんだようで、何かの体験が終わると普段ならウトウトするのに、今回に限っては、キラキラと目を輝かせ続けていたとのこと。
こうして、楽しみを増やしてくれたことをうれしく思う。


親子でサーフィン


サーフィンの次はスキー

障がいの様子は、人それぞれ違う。性格が違うように、同じ障がい名であったとしても、それぞれ違う。
毎回発見があるから、毎回が“THE DAY”になる。

アダプティブ=適応する
その人に合った方法を見つけて楽しむ“アダプティブ〇〇”の世界を広げていけるよう活動を続けていこうと思う。

Surfrider Foundation Japan こたえのない学校

 

 

古川尚子 FURUKAWA MASAKO プロフィール
中学校教員からフリーに転向。
海や雪山などのアウトドアシーンで障がい者のサポートを行う。
ちょっとしたことを手伝いながら、共に楽しい時間を過ごす。
「誰かの心に残る時を共に過ごす」5M8まちゃ
INSTAGRAM:@macya_58

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