海水浴シーズンが終わると“ユニバーサルビーチ”は、畑に山に活動のフィールドを変えていく。
ある年には、田植えをしたことがなかった私は、“車いすでも田植え”で、サポートしながら、人生初田植えを経験した。
またある時には、ロープで木登りをするツリーイングの“ユニバーサルツリーイング”の手伝いをすることで、人生初ロープを使って木に登ってみた時の景色の雄大さ、風の心地よさ、木々の匂い、木漏れ日の美しさに誰よりも感動した。
私自身が日本の四季や、日本の営みを知らず大人になっていることを知り、もっともっと知りたいと思うようになった。
そんな中、出会ったのが、フランス製のDUALSKI(デュアルスキー)という座面付きスキー。このスキーの躍動感に魅了され、パイロットになることを決意し、勢いのまま挑戦した。
このデュアルスキーは、ゲストが自分で手足を動かせなくても、シートに座ることができたら、パイロットが後ろから操縦し、雪を感じ、スキーの持つ疾走感を味わってもらうことができる機材の一つ。
私は、雪の降る冬を知ってほしいという思いから活動を続けている。
しかしながら、勢いのままにライセンスを取得してから6シーズン目。取り組めば取り組むほど見えてくるのは、自分の技能がゲストの遊ぶ世界を決めるということ。
私のスキー技術や体力から、対応できるゲストの体重、滑走できるゲレンデの斜度が限られている。
これは、とても重要なことで、これをこえてゲストをゲレンデに連れ出したところで、その先にあるのは事故。
だからこそ、私は、この限られているけれども自分ができる範囲で、より安全に、そしてより楽しんでもらえるように鍛錬する。
そして、私が対応できないゲストの場合は、対応できるパイロットに託し、サブに全力を注ぐ。
とはいえ、デュアルスキーはアダプティブスキーの中の一つの機材。
スキーの道具と、障がいの特性と、ゲレンデのコンディションを熟考して展開している障がい者スキースクールneige(ネージュ)が新潟県湯沢中里スノーリゾートにある。
彼らが即日配信しているYouTubeから、アダプティブスキーの世界をのぞいてみてほしい。
ネージュへ行くと、私は、機材や道具の準備、ビデオを撮る、お昼ご飯の注文など、キャスト(スタッフ)がゲストと思い存分楽しんでもらえるようにお手伝いをさせてもらっている。
彼らの手伝いをさせてもらうことで、最高の笑顔に出あうことができる。自分が今できないことは、できる人にピッタリついて学び取る。
ネージュでの活動は、私自身が可能性を広げてもらっている。
障がい者スキースクール・ネージュ
『Yes,you can do it 誰でも雪は楽しめる』
最後に、
「スキーをやってみたけど、自分は海の方が好き」またその逆もしかり。
選択肢があって、自分の楽しみを見つけることができる人生を送ってもらいたいと思う。
古川尚子 FURUKAWA MASAKO プロフィール
中学校教員からフリーに転向。
海や雪山などのアウトドアシーンで障がい者のサポートを行う。
ちょっとしたことを手伝いながら、共に楽しい時間を過ごす。
「誰かの心に残る時を共に過ごす」5M8まちゃ
INSTAGRAM:@macya_58