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コラム

佐藤稜馬『第4回 最近のビジターとローカル問題について』

2023/08/02 tag: 佐藤稜馬

 

坂本九が歌い、大ヒットした「上を向いて歩こう」。作詞者の永六輔は、ベストセラー「大往生」(岩波新書)の中でこんな言葉を紹介している。

「子供叱るな 来た道だもの 年寄り笑うな 行く道だもの」

愛知県にある犬山寺の掲示板から永六輔が書き写したと言われている。子どものいたずらなどは誰しも身に覚えがあるので叱るべきではないし、自分もいずれ年をとるので老人を笑いものにすべきではないという意味だ。

それを揶揄するわけではないが、ここ最近の海の状況を見ると「ビジターを叱り、ローカルを笑う」風潮がまかり通っているように感じる。「最近のビジターは……」などと目くじらを立てるローカルがいれば、「俺がルールだ!」と舐めプするビジターもいるのだ。

僕は基本、茅ヶ崎の海のローカルになるのだろうが、怒鳴ったり手を出したりといったことはしたことがない。どう見ても危険なときやマナー違反者がいるときは注意するが、それも極力オブラートに包んで、やさしく諭す。僕と同年代のローカルもそうだ。青筋を立てているのは一部の年配サーファーで、その勢いも年々、弱くなってきている。

そんな状況下で、近年、湘南サーファーの人口が爆発的に増えたという感触がある。理由は新型ウィルスへの慣れだったり、リモートワーク率の上昇だったり、いろいろあるのだろうが、問題の本質は、特定のポイントに人が集まりすぎて混雑していること。

ポイントの近くに駐車場があるかないかでも混雑レベルが変わってきそうだが、今は見渡す限りどこのポイントも人だらけで、ときにはライン上に人・人・人・人のフォーメーションで4人並んでいることもある。おいおい、ぷよぷよだったら消えてるぞ。

 

とにかく、海に人が増えたことで、トラブルが続出しているのは事実。地元のサーフィン組合も注意喚起をしたり、ローカル一人ひとりが“草の根運動”をしていたりするが、正直なところ、急激な変化に誰もついていけていないのが現状だ。

サーファー人口増加にともなう海のいざこざに、抜本的な解決策は見つかっていないが、今のところはビジターもローカルも、お互いを思いやることを忘れなければそのうち収束するのでは、と僕は呑気に考えている。まぁ、そもそも“ビジター”と“ローカル”で分けること自体が対立構造を生む原因になるので避けたいところだが。要するに個人間の問題なので。

ビジターは、大げさな挨拶やビーチクリーンは必要ない。でもせめて、初見のポイントに入るときは事前にそこの情報を集めておくこと。海に入っても「俺、俺、俺!」なサーフィンはしないようにすること。海上がりに気が向いたら、片手分のゴミを拾うこと。

対してローカルは、ポイント独特のルールがあるのなら、それを“暗黙の了解”で終わらせずに明文化・声明化すること。あと気に入らないからといってすぐ怒鳴らないこと。やさしい口調で諭すこと。地元に誇りを持っているのは大変いいことだけれど、たまには波をゆずること。

 

 

それだけで、ずいぶん違う海になるし、サーフィン業界もよくなっていくと思う。小さなことでも、積み重ねれば変わっていくだろう。ビジター、ローカル関係なく、僕も徹底していくつもりだ。

冒頭で紹介した永六輔は他に、こんな詩を書いている。

 生きているということは
 誰かに借りをつくること
 生きていくということは
 その借りを返してゆくこと
 誰かに借りたら誰かに返そう
 誰かにそうして貰ったように
 誰かにそうしてあげよう

誰もがやさしさを持てば、いい海に変わっていくはずだ。

 

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P.S.

今回の記事で僕のコラムは最終回です。
ここまで読んでくれてありがとうございました。

僕は今、湘南の海でサーフィンを最大限に楽しむ方法をお伝えしています。
マンツーマンやグループなどプランはさまざま。初心者・中級者サーファーは必見です。

波の上に立って、滑るだけがサーフィンではありません。
皆さんが極上のサーフィンライフを楽しめるように、
雨にも風にも負けず、全力でレッスンしています。

ご予約の際は、こちらのインスタグラムにメッセージください。
ちょっとした相談だけでも可能です。お気軽にご連絡ください。

佐藤 稜馬 : ライフスタイルスポーツライター
INSTAGRAM:@jjjryoma

以上、宣伝でした★

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佐藤稜馬 プロフィール
1992年生まれ。ライフスタイルスポーツライター。
5年ほど営業マンを経験したあと、持病の“サーフィンしたい熱”を発症し地元湘南に帰る。
以来、雑誌・ウェブで波乗りやアクションスポーツの魅力を伝えている。
夏季は茅ヶ崎の海でサーフスクールを主宰。好きなサーファーはマイケル・フェブラリー。
INSTAGRAM:@jjjryoma

 

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