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コラム

喜多一郎『第2回 映画「ライフ・オン・ザ・ロングボード」から「ライフ・オン・ザ・ロングボード2nd Wave」へ』

2021/11/17 tag: 喜多一郎

私の監督作品は今現在12本。

その中でサーフィンを物語のメインにしたのが

「ライフ・オン・ザ・ロングボード」(2005年公開)「海の上の君は、いつも笑顔。」(2009年公開)


©海の上の君は、いつも笑顔。製作委員会

そして最新作「ライフ・オン・ザ・ロングボード2nd Wave」。

劇中にサーフィン絡みのシーンが登場するのは「劇場版サンシャインディズ」(2008年公開)

「シェアハウス」(2012年公開)「ヨコハマ物語」(2013年公開)と、実に全体の半数になる。

 

私は元々サーファーの佇まいが好きでした。

海に向かい波打ち際に立つ後ろ姿。ボードにまたがり自分が乗るべき波を見極めている真剣な眼差し。

相棒であるボードを大切に抱え海から戻る軽快な足どり。

身体の倍も有ろうかと思えるロングボードを片手に砂浜を颯爽と歩くサーファーガール。

朝焼け、夕陽を背景に地元での存在感を漂わせるオールドサーファー達。再会した仲間同士の笑顔と挨拶。

時には波が無いのを観て、次なるポイントに足早に移動する後ろ姿にも、

映像としてのパフォーマンスを感じていました。

 

2005年映画「ライフ・オン・ザ・ロングボード」の公開以降、爆発的にサーファーの知り合いも増え、

多くの方から感想、メッセージ、少し耳の痛くなるご指摘もいただいた。

映画監督にとっては大変ありがたい反応でした。

残念ながら、2018年に亡くなってしまった主人公岩倉一雄を演じてくれた俳優大杉漣さんも、

自宅付近の海岸を犬と散歩をしていると、初対面のサーファーから親しみを込めたご挨拶をいただき、

「映画観ましたよ」「今日の波はどうですか?」「一緒に入りませんか?」等と

交わせる会話が楽しいと笑顔で語ってくれました。

 

いただくメッセージの中には映画を観て種子島に行って来た。

サーフィンを始めた。大杉漣さんのように仲間が増えた。等。

そんな中には続編を望む声も数多くありました。

ありがたいとは思いながらも、「ライフ・オン・ザ・ロングボード」に

サーフィンへの思いをすべて詰め込んでしまったので、続編に関してはお断りしていました。


©Life on the Longboard製作委員会

ところが、2016年の夏、別の作品の撮影中だった岡山に、

わざわざ種子島から「ライフ・オン・ザ・ロングボード2制作準備委員会」なるメンバー達が

地元の名産品を抱えて陣中見舞いに来てくれました。

参加していたキャスト、スタッフは差し入れに大喜びで、地元のニュース番組にも取り上げられました。

言うまでもなく、その熱意に心を揺さぶられ、14年振りの続編に突き進むことになりました。

約半年後、シナハンで約10年振りに訪れた種子島の海は、相変わらず最高の波で出迎えてくれました。


©Life on the Longboard 2nd Wave製作委員会

(つづく)

 

喜多一郎 プロフィール
映画監督、脚本家 プロデューサー 作家。
株式会社オフィスキタ代表取締役 城西国際大学メディア学部特別客員教授
「人間再生」を一貫したテーマにオリジナル脚本で12本の映画を監督。
テレビ番組、CM等、1,000本以上の映像作品を手掛ける。
音楽プロデューサーとしても1985~90年代に数多くのヒット曲を生み出す。
今年4月、大磯に総合プロデュースをしたカフェ「OISO CONNECT CAFE」をオープン。

 

 

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