今回から4回にわたりスケートコラムを担当するノーコンおじさん(自称)、松川です。
プロスケーターでもなく、アーティストでもなく、ただただクセの強い現在進行形の昭和世代スケーター。
宮城県石巻市から殆ど外に出ない不精者。
自分の身近な幸せを、どれだけ活字で伝えられるか心配ですが、宜しくお願いします。
(本当はお酒を飲みながら話す方が面白いのですが・・・今回は活字にて)
そして無茶振りをしてくれた長谷川さんありがとう！近い内に東京で是非？みましょう！
◆ノーコン愛
第1回目はスケートボードのサブトリックの一つ(あまり真剣にやらないトリック)。
因みに私はこれを技とは考えてません。
そんなNOCOMPLYが好きで好きでたまらない感情を
「ノーコン愛」と題して、あくまでもおっさん目線で活字で表現してみました。
◆そもそもノーコンとは
ウェブで調べるとズバリ、スケートボードのトリックの名前的な回答。
1トリックで前足を一回抜き、地面につけたり跳ねたりして板を縦や横にくるくる回すことデスかね。
活字にすると何とも無いのですが、足をつけなくても良いのに何故一度足をつけるのか？
フリースタイルでも無く、無駄に見える行為が
ギリギリのグレーゾーン的でとてもセクシーでエロさを感じるのです！
普通にキックフリップすれば良いのに、今じゃ前足抜いて地面にタッチ！
最高のエクスタシーを感じるのであります。
ショービットとポップショービットがあるように、
ノーコンにも低くやるのと高くやるやり方があり、トリックによって使い分けます。
さらに股の内側を通すのと外側を通す、フリップを入れる、フェイキーでやる！
ノーリーでやる！スイッチでやる！無限にあるバリエーション！！
あ～書いているだけで鳥肌が立ってしまいます。
ノーコントレなんか、枝豆をソフトにプチッと指で押し出すイメージでやると、ぴょ～んと
可愛く跳ね上がってくるのよ。
ビッグヒールなんか、俺の足の下でそんなに回っちゃってどうすんのよ！
板と延々情熱的なダンスをしてる感じ？
とにかく一回足から離れてまた戻す？(乗りに行く)的な行為がやめられません。
何にもやらないよ～って感じで、サクッとやるのが正攻法。
そしてそしてノーコンを引き立てる上で、是非とも必要なシチュエーションが有ります。
「ツルツルテカテカの面！」これで気持ちの良いノーコンを体感出来るのです。
私の文章だと変な伝わり方をすると思うので、詳しくは、是非こちらのページも見てみて下さい。
http://www.vhsmag.com/yo-chui/no-comply/
ノーコンについて詳しく解説してます。私も参考になりました。
◆ノーコンおじさん現る！！
50歳を過ぎて、オーリーもそんなに高くないし、ボックスとかカーブとか苦手だし、
何か出来るトリックは無いかと考えていたら、脳裏に焼き付いていたPOWELLのビデオ
「BAN THIS」でレイ・バービーが繰り出す脱力系ノーコンの数々！を思いだし、
「これだよ これこれ！」これならおっさんにハマるはず！
あれもこれも出来るわけが無いので、ここは1点集中型ノーコンに決定(着地が安易)。
ノーコン愛でたまらないおっさんはすぐのめり込んでしまうのでした。
決定してからと言うもの、元々ストックしてた好きなノーコントリック動画と、
新たに検索をして世界中のノーコン師匠達に圧倒されながら、模倣を繰り返す日々がスタート。
動画を見過ぎて夢に色々な師匠が現れる(アホやな)。
そんな昨年11月、自宅駐車場に止めた車のバンパーに携帯を置き忘れ
忘れたことも忘れたまま翌日はあいにくの雨。
7年使い込んだピンクのガラケーが逝ってしまわれました。
嫁に説明と相談し、素晴らしいことに(たどり着くまでは結構大変でしたが)、
ついにスマホに変更！雨降って地固まる！最強のアイテムをゲット！
やたー！動画も撮れてインスタできるじゃね～かよ！おい！
よし！これからどんだけ滑れるか解らないので、記録を撮ろう！とインスタで始めたのが
「今週のノーコンおじさん」。
ほんの少し爪痕残せるかな的な考えで、今年に入り1週間に1個のトリックを必ず
アップすると言う、無謀な目標を実践中です。
◆ノーコンおじさんの日々
おじさんの住んでる石巻市は港町で、冬は雪の代わりに凄く冷たい風が吹き荒れ、
真冬に外に出ると5分ぐらいで「やる気を失う」。
年配者にはかなり身体に応えるうえ、オマケに路面も悪い。4シーズン滑れる環境はなかなかありません。
2012～2015まで3年間、商店街近くにミニランプ(名称マニラランプ)を建て、
仲間と滑っていましたがそこは屋外、強風と天候に大きく左右されていました。
そんで色々考え、自分の借りているアトリエ(仕事場)で滑れんじゃないか？！
無駄な移動時間もかからないし！
はやる気持ちを抑え、大家さんであり後輩スケーターの(株)ステイブルー代表
鈴木孝宗パイセンに相談、(苦笑いで)許可を頂き早速準備に取りかかる。
(彼との武勇伝は2回目以降に追々紹介したいと思います。)
床にニスを塗り、出来るだけチリホコリが立たないようにし、さらに板が飛んでも
良いように作業道具類をガードしたりDIYの日々。
そうして2日間のDIYで、そこそこ板が弾く環境を手に入れる。
ワンコインでランチならぬ、ワンプッシュでトリックをするスタイルが完成！
ここで毎日、1時間から2時間ぐらい滑ります。
まず基本、サッカーのリフティング的な感じで右足、左足、左右で板を弾いて
180度回転させる、次にインポッシブル的に1回転させる。
同じ軌道で戻って来るのを確認する。
これを左右50回ずつとか、自分で決めたルーティーンをアホみたいに繰り返す。
気の遠くなるような地味な動作。笑
でもその繰り返しやる基本の動作って、カテゴリーは違っても概ね共通する
基本的で大切なことと勝手に思っています。
そんでいよいよ課題のやりたいトリックにトライ！
再来週分も含め、やってやって力が抜けてスタイルが仕上がるまでやり倒す。
そうやって、1回乗れる時が来る、1回を5回にする、ここで気を抜かない！5回を10回にする・・・。
朝起きてすぐ、歯を磨きながら出来るぐらいの仕上がりに！
いつの間にか力の抜けたゆるい感じ(スタイル)で出来るようになる(思うほどならないときもある)。
スケートをやったことが無い人から見て、「そんなに難しいことやってないな。」
かる～く滑ってるな～って思わせたい！ただただそれだけ。
今日出来ても明日出来る保証は無く、お金じゃ手に入れられない自己満足の世界。
そうやって自分のスタイルを作り出す。笑
スタイルつまりセンスは1日にして養われませんよ～。
自分の好きな音楽、ファッション、お酒！哲学！仕事！色んな物が融合してセンス(加齢臭)になってるんですよ。
自分と向き合って、戦って、掘って掘って掘り下げて、自分で生み出す物質がやがてあふれ出て表現者となる。
絶対誰も教えてくれませんからね。
つぅことでここで勝手なんですが、スケートボードは「努力とセンスの上に成り立つている」と感じてます。
誰か共感してくれる人いないかなぁ～！笑
夜は夜で、参考動画がレギュラーだったらミラーリングして自分用のグーフィーに直し
スタンスやポイントになるカ所のチェック。難しいトリックは何と何を組み合わせて出来るとか
バラして練習。足の位置をちょっとずつずらしてベストな自分だけのスタンスを探す。
毎日やると言っても(一応)仕事もあり、
滑りすぎて筋肉痛で身体が重い、15分経ってもテンションが上がらない、もう止めようかな・・・と思うときも、
出だしの15分を乗り切り、毎日板の上に乗る。余り出来ない時は30分だけでも基本動作を繰り返す。
そんなこんなで終わる頃には、今日も滑れて良かった、お酒が旨いぞ！と思うのでした。
最近だと自分の良いところ悪いところを理解し、無駄な動きを無くし効率的に覚えるやり方が見えてきて、
次のトリックをするための方程式(自分だけの法則)が出来上ってます。
何かに取り憑かれたような感じで集中します。笑
いままで修行とか鍛錬とか縁遠いものでしたが、
勝手にお坊さんの修行はこんな境地なんだろうかなぁ～と、
とんでもない例えで自分のやってることを肯定してる毎日。
◆動画撮影
そんなことを繰り返しているとあっと言う間の一週間。撮影の日が来てしまいます。
別に絶対この日とは決めていません。気分と仕事のスケジュールで土曜日に撮ったのにすぐ月曜日に撮ろうとか。
出来るからと言って決して2本撮りはしてませんよ。あくまでも1週間でワントリック！笑
20分で終わるときもあれば1時間半もかかる時もあり、嫁さんに無理矢理付き合わせて
例のアトリエ中二階からスマホで撮影開始！
始めたころはスケート動画を撮ったこと無い嫁に、最初からダメだし＆色々注文をつける！
呆れないで良く付き合ってもらっます。そんなこんなで5ヶ月が経ち、今じゃ
「あ～、もうちょっとじゃないの？今のはグレーだね、もう一回行こうか！」「保険でもう一回」
てな空気感、もはや盛り上げ上手なフィルマー的な感じです。笑
そうやってギリギリまでトライして良いのが撮れても、余り納得しなくても、
まぁ全部今の自分なんでこれで良いかなとすぐ切り替える。
汗ダラッダラになり頭から湯気が立ち上る中、撮った動画を速攻チェック！
足が早いので(新鮮なうちに)すぐ編集、インスタアップ！
家に帰れば反省会と称してお酒を呑む。もちろん嫁も道連れです。
こうして、努力やいろんな犠牲の上に成り立つ奇跡のワントリックが、
インスタのvigour_bossでやってる「今週のノーコンおじさん」なのだ。
因みにインスタネームのvigour_bossのvigourとは、
昭和の雑誌に広告で出ていたビガーパンツに憧れていたのでそこからいただきました。笑
最後にノーコンあるあるで締めくくります。
・板のチップ率が凄い
・スネとアキレス腱、くるぶしあたりがいつも傷だらけ
・靴と靴下の壊れ方が普通のスケートしてる時と違う
そして50歳を過ぎて毎日スケボーしてると確実に引かれます。
よって同級生のお友達とはドンドン疎遠に、年に1、2回10秒程度の挨拶をするぐらいになってしまいます。
スナックでママとお話なんか成立しません。
★よい子の皆さんは決してマネをしないでね。センスが良くないと仕上がりませんからね。
最後にお知らせが有ります。
浦本謙 赤地正光 私の3人でCREAM GRAPHICSとして下記のEXHIBITIONに参加致します。
当時のグラフィックを手刷りのステッカーで再現しました。
是非見に来てください。http://www.beams.co.jp/news/974/
松川 BOSS 聖彦 プロフィール
宮城県石巻市在住
有限会社CREAM UNITED 代表
スクリーンプリント業
