『国籍、サーファー』
僕はサーフィンの人、僕はファッションの人、○○の人……。
それぞれの生業や嗜好を持つ自分をセグメントする人が多い。
専門領域を持つ自負と、そうでないことへの謙遜かもしれないが、
それぞれの狭い世界の間を縦横無尽に往来する
“パスポート”を持ってるサーファーが面白い。
昨年初冬、幣誌「オーシャンズ」の連載記事にご出演いただいた
千葉公平さんとお会いしたときの私服が印象的だった。
日本を代表するファッションブランドにして、
シーンを牽引し続けるコム デ ギャルソンのコートに
下ろしてからそう時間の経っていないように見える
ジャストサイズのインディゴデニム。
足元には、洋服好きの男性なら間違いなくピンとくる
オールデンのコートバンのプレーントゥシューズ。
サーフィンの話と同じように、
ニコニコと自然体に造詣深いファッションの話をする姿にシビれた。
記すまでもない波乗りとともに歩んできた濃密な半生を持つ御仁、
ファッションなんて興味がない人だろうと思った自分が恥ずかしくなった。
専門分野を持つことは当然のことだ。
それが深ければ深いほど、高下駄をはいたときのように
視界を良好にしてくれて遠くを見渡せる。
そして、興味を持って掘り下げたものがふたつあれば、
二本歯の下駄のように安定する。
そして君たちの生きる時代は、その「歯」がもっともっとあるといい。
もう20年近く前になる学生時代、当時ソニーに勤めていた
3回り以上も歳の違う先輩から聞いた話がフラッシュバックする。
今春、日本で本格展開をはじめ、ヒット間違いなしといわれているブランド、
DEUS EX MACHINAは、
サーフィンにバイクを融合させた新しいスタイルを提案している。
サンフランシスコにある世界でいちばん美味しいパン屋と評される、
タルティーヌベーカリーのディレクター、チャドは熱心な
サーファーとしても知られ、かの地で賑わうカルチャーの中心にいる男だ。
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さまざまなシーンで「サーファー」という“国籍”を持つ人々の
ユニークな活躍が目立ってきている。
そして、その人々が海の上で交わることでまた、
新しい化学反応が起きてサーフカルチャーが豊かになることを考えると
ワクワクしてたまらないのだ。
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