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COLUMN |
SURF COLUMN 2012/12/19 |
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『やっぱりサーフィンとファッションの関係が面白い。』
70年代、80年代、90年代、それぞれの世代にあったサーフとファッションのいい関係。
サーフィンが他の競技スポーツと圧倒的に違う格好良さは、
サーファーという強烈な個性が発露となったオリジナリティ溢れるスタイルがあるところだ。
それがファッションとなり、流行となって……。
2010年代、またサーフィンとファッションとの関係が面白くなりつつある。
そこで、「今」を感じられるサーフィンの香りが強いブランドについて、いくつか。
90年代のストリートカルチャーの発火点となったブランド、
ステューシーの創始者、ショーン・ステューシーがシーンに戻ってきたことは、
早い人ならすでにご存知のはず。
s/doubleという自身のイニシャルをブランド名にして
ルーツでもあるサーフボードビルドと得意のファッションを引っさげカムバックしてきた。
自身が暮らす街、カリフォルニアのサンタバーバラにある理髪店のバックヤードと
東京・祐天寺という、わかりづらい穴場にスタジオ(ショップの意味)を構えるあたりは、
一筋縄じゃいかない男、ショーンらしさが見え隠れしている。
メガストリートブランドとなった「ステューシー」を96年に売却して以降、
何かを本能的に感じ取ったかのようにセミ・リタイアの道を歩んでいた「時代の顔」。
一度身を引いたスターが表舞台に戻ってくることは危険をはらむことが多いことも。
なんて思っていたが
アパレル本格展開となった春夏の展示会で
ラインナップされた服を見て、余計すぎる心配だったと反省した。
イギリス製のステンカラーコート、ゴルフブルゾン、
アメリカの老舗シャツ屋で仕立てたチェックシャツ、
上等な素材で仕立てたワンポイントロゴのTシャツ……。
「サーフ」「ストリート」で育った悪ガキが
大人になって着たくなった正統でクリーンなトラッド&アイビーなアイテムがズラリと並ぶ。
キチッと刈り上げて、トップを撫で付けたヘアスタイルなんかで着たくなる物ばかりで、
従来のルードなサーフファッションとは隔絶された世界観だ。
そういえば、先日邂逅した千葉公平さんの着てた服がとても洒落ていたことで
ファッションの話になったとき(いつか、この話をコラムで書こうと思います。)
「サーファーはもともとアイビーやからね」というひと言と
s/doubleの服とが妙に重なり合って見えたのが、また印象的だったのだ。
NYの街でも屈指のトレンドスポットと知られるSOHOに
突如表れ大きな話題となったサーフショップ、サタデーズ サーフ ニューヨーク。
街と海を近づけたという点で、高い評価を与えたいショップは
2012年には東京・代官山にも進出、この春には神戸にも出店が決定した。
この大成功によって、この春東京では「サタデーズもどき」が大量発生しそうだ。
ショップ経営者たちはみんなサタデーズを目指そうとしているからだ。
サーフ、ファッション、コーヒーのあるライフスタイル……。
鎌倉・七里ケ浜のBLUE HORIZONなんて、
サタデーズよりも早くそういうスタイルを確立していたのに、
誰も見向きもしなかったのはなぜだろうか?
NYといえば、
昨年惜しまれつつ閉店したモラスク サーフショップ(サンフランシスコ店とヴェニスビーチ店は運営中)の
オーナーだったクリスがはじめたPilgrim surf+Supplyが注目だ。
元はNYでスタジオを経営し、有名ファッション誌でも仕事をするフォトグラファーで
いわゆるサーフ業界の人じゃなかった人が手掛けるショップだが、
NYサーフシーンの中心人物として
ハードコアな世界にもしっかりアプローチしているのが面白い。
秋の来日時に一緒に食事をしたのだが、とにかくナイスガイで、
ケリー・スレーターをはじめとする現役コンペティター、
リチャード・ケンビンら往年のスター、
そしてサーフカルチャー周辺のアーティストなど、
とにかく人脈が広いのもニューヨーカーらしい!?
「サーフィン業界」「ファッション業界」と
縦割り的な考えのなかでこういう人はなかなか生まれてこないよなー、と羨望の眼差し。
そんな注目のNYサーフショップブランドのウェアが、
セレクトショップのBEAMSで今春から展開予定だ。
一方、ヨーロッパからも面白いブランドが日本で本格展開をはじめる。
バスク、サン・セバティアンの海岸沿いにオフィスを構えるtwothirdsだ。
大手サーフアパレルメーカー出身者らが設立した
インディペンデントなブランドで、
地球の2/3が海であることがその名の由来。
オーガニックコットン、リサイクル可能なポリエステル素材や
使い道のなかったデッドストック生地などを積極的に使用したり、
生産工程での排水を最小限にする試みをするなど、
まるでパタゴニアのような環境への積極的なアプローチが特徴だ。
そして、バスクアーティストたちとの関わりも強く、
クオリティの高いサーフフィルムやアートを発表している。
サンフランシスコなどでも多く見られる
「自分たちの興味あることを、近い仲間で、できる範囲で実現する」
コミュニティ的なスタイルは、これからのブランドのキーワードかもしれない。
日本では、セレクトショップのジャーナルスタンダードなどで展開が決まっている。
この他にも、サーフとファッションをグッと近づけてくれる話題が目白押しだ。
「チャラい」と一刀両断するサーファーもいるかと思うが、
どのような経緯であれ人がサーフィンに興味を持ってくれることはとてもうれしいと思うのだ。
思い返せば、女の子にモテそう、お洒落、不良っぽくて格好いい。
そんな理由でサーフィンをはじめた人が多いはずだからだ。
そうして、10人のうちの1人でも、いや100人のうちの1人でも
サーフボードを持って、海に行って、波に乗って、笑顔になって、
もっとサーフィンがメジャーなカルチャー&スポーツに育って、
シーンが盛り上がってくれたら、みんなが幸せになると思うからだ。
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