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 COLUMN
surf columnSURF COLUMN 2013/1/9  
江部寿貴
1977年、東京都葛飾生まれ。
いくつかのファッション雑誌を経て、37.5歳(読者平均年齢)からの男性ファッション&
ライフスタイル誌「OCEANS」創刊に携わり、2009年より副編集長を勤める。サーフ&
ビーチカルチャーを専門誌ではない視点で捉える連載「Seaward Trip」や海を感じる
ファッション特集を手掛けるなど、海と街を近づける新しいスタイルを積極的に
提案している。
1回目 2012/12/19 『やっぱりサーフィンとファッションの関係が面白い。』
2回目 2013/1/9 『“やや中年サーファー”が2013年に期待したいこと』
3回目 2013/1/23 『国籍、サーファー』
4回目 2013/2/6 『最後に夢の話をしよう。』

『“やや中年サーファー”が2013年に期待したいこと』

1月3日、鎌倉・七里ケ浜にお邪魔して2013年の波乗り初めをしてきた。
前日から吹き続けた南西風の影響で立ったセットで胸程度の適度なサイズの波。
冬晴れで覗む江の島といつもより大きく見える富士山。
ブーツ&グローブなしでも楽しめる水温。
申し分のないコンディションでポイントは賑わう。
友人、知人、顔見知り、それぞれがそれぞれ年始の挨拶を交わす波待ちの光景のなか、
気になることはサーファーたちの高齢化だ。
今年で36歳になる自分がピーク近くにラインナップして挨拶した人々は、
還暦からほぼ同世代の先輩たちばかり。
混雑するラインナップを見渡すと、20代と思しきサーファーがパラパラと、
ティーンズやキッズにいたっては天然記念物のごとくの少人数。
頻繁に通っている千葉の各ポイントでも同様、とにかく若いサーファーが少ない。
ある新聞の社会欄にあった「減少しつづける暴走族」という見出しを思い出す。
暴走族を脱退した少年らへのアンケートによれば、
「キツい上下関係になじめない」「燃料代の高騰」
が暴走族離れの大きな理由とのこと。
浮き彫りにされた今どきの若者らしさと時代背景に妙に納得を覚えるとともに、
どこかサーフィン離れする若者に通ずるような気がしてならない。
ちょうど1年ほど前、人気セレクトショップ、
ビームスの設楽洋社長と半ばプライベートでお話させていたたく機会があった。
いろいろと質問させていただいたなかで、ある高校生起業家と対談したときのお話が印象的だ。
「その彼(高校生起業家)が“ファッションってサブカルチャーですよね”とコメントしたんです。そのひと言に危機感を感じました。僕のなかでファッションって大きなカルチャーだと思ってたから。もっと多くの若者にファッションの楽しさ、ワクワクする感覚を伝えていかないと、ファッションの将来が見えなくなると思うんです」。
波乗り初めの翌日、1月4日の朝日新聞で、
アメリカンフットボールの日本一を決定するライスボウル優勝の結果を報じる記事の脇に
「社会人や大学チームが取り組んできた普及・育成活動の成果が芽吹く」というコラムがあった。
小中学生世代がフットボールに触れるための施策を伝え、
アメリカンフットボールの人気と競技人口拡大を期待させる内容だ。
若い力は間違いなくシーンを盛り上げ、活況にしてくれる。
若者が無類の興味を示してきたファッションの世界の人も、それを見据えているのだろう。
もはやあぐらはかいていられないのだ、と。
酒も飲まなければ、遊びもしない。
洋服も買わない。ハメも外さない……。
ある種のステレオタイプ、十把一絡げに「最近の若者」が語られがちだ。
僕はもうすでに残念ながら「若者」というジャンルには属してないようで、
その真実を知ることはできないけれど、
来年の乗り初めに、
パドルアウトしてくる後輩が増えることを期待したい。
では今年もよろしくおねがいします。

surf column江部寿貴
1回目 2012/12/19 『やっぱりサーフィンとファッションの関係が面白い。』
2回目 2013/1/9 『“やや中年サーファー”が2013年に期待したいこと』
3回目 2013/1/23 『国籍、サーファー』
4回目 2013/2/6 『最後に夢の話をしよう。』
 
 
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