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COLUMN |
SURF COLUMN 2007/12/5 |
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『空前のサーフィンブームが意味するもの』
週末になると全国のサーフポイントには、多くのサーファーたちがここ数年で軒並み増えてきている。大手広告代理店に勤めている友人に聞いてみると、推計で日本のサーファー人口は200万人とも言われているらしい。そしてその増加ぶりは飛ぶ鳥を落とす勢いさえも感じるそうである。まだまだ増加する一方だとも言っていた。ビッグビジネスチャンスとしても考えられており、メディアではサーフボードを片手に街を歩く姿まで放映されている。映画でも大きくフューチャーされ、現代若者の風俗のひとつとして確実に定着している。特に女性のサーフィンへの関心は、男性を越えていると分析していた。いつかはきっとやってみたかったマリンスポーツの一番であるそうだ。以前は、男が女にもてたいから発想で広がりを見せていたが、今はまったく違う。波に乗ってみたい!という純粋な気持ちが先行しているのである。まあ男が女にもてたいのも、いたって純粋でもあるのだが・・・・・また若者だけではなく、壮年層にも大きく広がり始め、ライフスタイルとして認知されだしてきた。日本で一番暮らしたい町は、神奈川県茅ヶ崎市であるという統計がでている。明るい陽射しをうけ、湘南のさわやかな潮風に髪をなびかせ、緑に包まれたテラスでモーニングコーヒーをすする。朝いち海に入ってからスーツに着替え、身も心もリフレッシュして仕事場へ向かう。もうばっちり!で言うことなしである。そう!湘南の魅力は海なのである。風なのである。そしてライフスタイルを決定的にする環境イメージがあるわけなのである。おおいにけっこう!島国日本に暮らす私たちにとって海と戯れ遊び講じ、自然を身体で感じることは大切なことであり、なによりも生きがいとして自分自身を見つめられる偉大な場所なのである。サーフィンであろうが、なんであろうが、空の色や風の向き暑さ寒さを実感できるかけがえの無い『おおいなるもの海』なのだ。
しかし、サーファーは湘南にとどまらず、いい波を求めてどこへでも出没する。高速道路やコンビニや地方の食堂にいたっては、お得意さま的存在でもある。私はこれらサーファーの交流を一言で『究極のリピーター』と呼んでいる。観光パンフレットがいらない人たちである。すばらしいロケーションでいい波を一度体験してしまうと何度も何度もその土地へ足を運び、挙句の果てには生活の基盤をその土地に求めるサーファーは後を絶たないのである。千葉県岬町のアパートの普及率はサーファーが8割弱占めているとのことだ。信じられますか?これは本当のことなのです。
実は、前出の茅ヶ崎の話も岬町も話も、毎年5月に茨城県大洗町で開催している「サーフシンポジウムIN茨城」での話題なのです。SFJはこの空前のサーフィンブームの要因は、世の中の移り変わりの時期ではないかと考えています。戦後国土復興のためなされた政策のひとつとして、インフラ整備や開発事業を推し進めてきました。高度成長を死に物狂いでひっぱってきた先人もいます。便利さを追求したため残されたものは、環境破壊と地方経済の低迷であったことに気づいたのです。過去を非難しても始まりません。現状を認識し、次の段階に入っていかなければならないからです。
一枚の写真をご紹介いたします。
茨城県ひたちなか市阿字ヶ浦海岸にある『黒沢忠次翁』の銅像です。彼は大正時代初期に阿字ヶ浦海水浴場の推進に邁進された方です。観光という産業に着目し、海浜環境のすばらしさを多くの人に知ってもらうために地域おこしに力を注がれました。
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2005年 PHOTO ©SFJ |
1996年 PHOTO ©石毛正昭 |
さて、今はどうでしょう。
彼の見つめる海岸は、2000億円とも言われる港湾工事のため、その様相はまったく変わりました。
黒沢翁は何を今考え見つめているのでしょう?
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2005年 PHOTO ©SFJ |
2005年 PHOTO ©SFJ |
私はこれを国力の低下を意味すると感じてやみません。
SFJ代表 守山倫明
http://www.surfrider.jp
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