美しさと強さ(防災)
「自然と人が共に生きる」自然地形を生かした安全で持続可能な海岸を!
鹿児島県奄美大島南東部に位置し、太平洋に面する瀬戸内町嘉徳。住民19名の静かな集落です。
背後に森深い山地を控え、山から集落、砂丘を抜けて海に流れ込む嘉徳川が、山・川・里・海をつなぐ奄美大島の原風景をつくっています。島で最後に残された人工物のない川は、この夏に決定したUNESCO世界自然遺産登録でも高く評価され、政府の推薦に元々含まれていた山地に加えて、集落、浜と共に緩衝地帯として追加されました。山には固有種のアマミノクロウサギ、川にはリュウキュウアユ、砂が豊富な浜にはウミガメが上陸・産卵し、オカヤドカリは川と浜を行き来します。集落は、縄文時代・弥生時代の遺跡上にあり、太古より人と自然が共にあったことを今に伝えています。
2014年10月、浜幅が狭まっていた時期に台風が重なり、集落と浜の間にある砂丘に、浜崖と呼ばれる大きな段差ができたことから、集落住民が町に浸食対策を要望。
2018年1月、鹿児島県が幅180m×高さ6.5mのコンクリ護岸計画(砂で覆い植栽を施す)を決定し、2019年より護岸工事のためのコンクリブロック等の建造が開始。コンクリ護岸に異を唱える住民が、県に対して計画を見直す訴えを起こし、裁判が継続中ですが、2021年9月には砂丘に重機が入り、現在も県による護岸建設のための作業が進行中です。
住民や専門家は、科学的な調査結果に基づき、嘉徳浜の護岸工事は、
・逆に侵食を招いて住民を危険にさらす
・世界自然遺産にも組み入れられた貴重な生物多様性に悪影響を及ぼす
・島内でも「陸の孤島」と呼ばれ、「限界集落」である嘉徳の、数少ない観光資源である手つかずの自然を破壊することから、嘉徳集落の安全と将来の発展を奪う
と主張し、嘉徳の自然地形を生かした防災、自然も人も共に生きる海岸管理を提案しています。
計画の見直しを求める声は、一部住民に加え、専門家や学者(海岸工学、生態系、生物学、環境行政学など)、NPOなどからあがり、国内外のメディアがこの問題をとりあげています。嘉徳浜は、サンゴ礁に囲まれた奄美大島で唯一、ビーチエントリーができ、子供や初心者が安心して過ごせるサーフスポットでもあり、Surf basedの国際環境保全NPO、Save The Waves (日本語版の概要はこちら)や、Surfrider Foundation Japan、またパタゴニア日本支社、Patagonia Surf等も声を上げています。
気候変動が進む中、激甚化する災害と向き合いながらも、どのように自然と共に暮らしていくべきか。世界で最もコンクリ化されているといわれる日本の海岸の在り方は、本当に正しいのか。嘉徳で起こっていることは、日本全体が直面する課題を象徴するものです。ぜひ、一緒に考えてください。
「奄美の森と川と海岸を守る会」
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https://amamiworldheritage.org
嘉徳浜弁護団
https://www.facebook.com/jurassic.beach.katoku/