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コラム

林睦益『第1回 世界のサーフシーン フィリピン シャルガオ島』

2018/05/09 tag: 林睦益

はじめまして。これから4回のコラムを担当させていただく、林睦益(ともみ)と申します。
私が尊敬してやまないプロサーファーの武智実波さんから引き継ぎをさせていただきました。
私はプロでもなければ、何かの活動家でもなく普通の一大学生で恐縮ですが、このような貴重な機会をいただけて大変光栄に思います。実波さん、ありがとうございます!

私は現在大学三年生で、東京にある国際基督教大学(ICU)で国際関係学を専攻しています。去年の4月から1年間大学を休学してスペイン語の勉強とサーフィンをしながら世界を旅してきました。休学中、様々な場所でサーフィンをする中で、人、文化、サーファーそして彼らのコミュニティーと触れ合い、毎日が新しいことで溢れる時間を過ごしました。この経験を元に、私のサーフコラムでは現地でのサーフィンを通して出会ったローカルサーファーを取り上げ、それぞれの場所のサーフシーンや個々のサーフィンに対する思いを皆様に紹介していく予定です。
全4回を通して異なった国を取り上げていきますので最後までお付き合いいただければ幸いです。

フィリピン シャルガオ島

一年間の旅を通して得たものとは、単なる観光名所と共に撮った写真や語学力だけではありません。それ以上に、世界中にできた新しい友人や異なる価値観との出会い、現地の人の優しさ、忍耐力など、カタチにはならない経験を旅が私に与えてくれたと考えます。
そしてサーフィンにも同じことが当てはまると思います。 母なる偉大な海を前にして、国籍や人種や、それぞれの社会ステータスは意味をなさなくなってみんなが波兄弟になれるのだと思います。という表現は少しヒッピーが過ぎますが。(笑) しかし実際に1人旅にもかかわらず、次々に海で新しくできた仲間がいつもそばにいて1人になる時間の方が少なかったのです。

これから紹介する友人、パウリンもそのうちの1人です。彼女は、フィリピンのシャルガオ島在住。シャルガオ島には世界屈指のサーフポイントであるクラウド9があり、世界中からサーファーが集まる場所。彼女とは、バリの海で波待ちをしている時に出会い、意気投合してその後、彼女の住むシャルガオ島を訪れる機会を得ることができました。一緒にサーフィンする予定だったのですが2人とも体調不良によりサーフィンはできずじまいでしたが....。(泣)

hayashi tomomi photo

パウリンは現在一児のママサーファー。普段は子育てをする傍ら、ケーキやジャムを作り、マーケットに出店している。近々、カフェをオープンするそう。

hayashi tomomi photo
(パウリンと彼女の夫と息子)

そんな彼女にシャルガオ島におけるサーフィン、彼女のサーフィンに対する思いをインタビューしました。

私:シャルガオ島の現地の人々の暮らしはどのようなもの?

パウリン:大部分は農業と観光業で生計を立てているね。島にはココナッツとかパイナップルなどの果物が溢れているから、それを売ったり、加工して売ったりしているの。あとは、サーフィンスクールのインストラクター、ホテル従業員、観光ガイドなど。島の人は多くのモノはもたないけど、いつも心に太陽が宿っているような温かい人達ばかりよ。それから世界中からいい波を求めて島に移り住む人も沢山いるのよ。事実、島のほとんどは国内外からの移住者なの。日本人やオーストラリア人もいるし、他にはドイツ、イタリア、フランスからの移民も沢山住んでいるわ。島の問題といえば、病院が一つもなくてあるのは小さな診療所だけ。だから大きな病気や緊急の時はとても困るね。

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(フルーツなどの食料品を売る小さな商店)

私:島の人が専門的な診察や高度の治療が必要なときはどうするの?

パウリン:隣のスリガオ島か首都のマニラまで行かないといけないわ。でもしばしば処置が間に合わないこともある。シャルガオ島はリーフブレイクだから重大な怪我をした時は大変。マニラへはー飛行機を乗り継いで行かないといけないし、隣のスリガオ島へ行くにしてもボートで2時間かかるの。病院に運ばれる途中で頭からの大量出血により亡くなったサーファーも過去にいるわ。島の最近の問題といえば、シャルガオ島を舞台にした映画(「Siargao」2017年)が公開されたことで多くの観光客が島に押し寄せて来たの。それが原因で、汚染とゴミの増加が問題になっているわ。クラウド9を見渡せる桟橋がこの前のセマナサンタ(フィリピンの大型連休。日本でいうゴールデンウィーク。)のとき、あまりにも多くの観光客が登ったからその一部が壊れちゃったの。サーファーにとってこの桟橋はクラウド9へのエントリーポイントでもあったから残念だわ。

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(クラウド9 にかかる桟橋)

私:それらの問題に対して現地の人はどう感じている?なにか対策は?

パウリン:観光客が増えると島の経済が良くなって嬉しいと思う反面、自然に生かされているからこそ島民全体で協力してその美しさを守っていかないといけないと思うね。また、環境を守ることはサーファーにとってもサーフィンの一部。いつまでもこの綺麗な海でみんなが波乗りできる環境を続けていかないといけないわ。シャルガオ島のサーファーコミュニティが運営している団体があるんだけど、みんなでビーチクリーンを定期的にしたり、島の子供たちへの環境教育を行っているの。また、飲食店ではプラスチックのストローの代わりに竹からできたストローを提供したり、ココナッツから作られたカトラリーを使うことでプラスチックゴミを少しでも減らそうとする取り組みがされているわ。これらのアイデアの中には海外からの移住者が発案したものもあるし、彼らは積極的に島をより良くするための活動に参加していて、フィリピン人のローカルも彼らから多くのことを学んでいるわ。

私:なるほど、外からの移住者が島に良い影響をもたらしているんだね。シャルガオ島がフィリピン国内からだけでなく世界中のサーファー、旅人を惹きつける魅力って何だと思う?

パウリン:一つは、世界でも名高いサーフポイントであるクラウド9の存在。ここは基本的に大きな波で 厚くてホローなチューブが割れるから人気なの。毎年9月にはここでWSL(世界プロサーフィン連盟)の試合が行われてとても賑わうわ。そして、少し波のサイズが下がるときはサーファーでいっぱいになるの。なぜなら皆がクラウド9でサーフィンをしたって自慢したいから。(笑) このようにクラウド9は多くのサーファーの憧れでもあるわ。もちろんクラウド9だけじゃなくて島内には様々なサーフポイントが沢山存在しているからモーターバイクにボードを積んでサーフポイントを色々回ることができるわ。それからシャルガオ島の自然と人の美しさも多くの人々を惹きつける魅力。とてもシンプルなものだけど、生い茂るココナッツツリー、キラキラのサンゴ礁、人々の無邪気な笑顔、ゆるい空気とかね...。

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私:私もいつかクラウド9でサーフィンしてみたいなあ....。パウリンは私と一緒で旅が好きだけど、今サーフトリップに行くならどこにいきたい?

パウリン:今はスリランカに行ってみたいわ。シャルガオ島のように良い波があることはもちろん、ヨガも学んでみたいわ。それから、スリランカはインドから近いけど一味違ったユニークな伝統や食文化が存在らしいから自分の目で見てみたいの。

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私:最後に、あなたにとってサーフィンとは?

パウリン:一言で言うと、”幸せ“ね。 波に乗っている時のワクワクは他のことでは味わえない唯一無二なものだし、何より海の上にいるだけで自然と仲間が増えていって彼らが私の人生を彩ってくれる。それからサーフィンは楽しみであると同時に苦難でもある。波をキャッチできるかできないかでその後の人生が変わるからね。(笑) でもたとえ波に巻かれまくったとしても、なぜか心がスッキリするの。だからサーフィンは私に幸せだけをもたらしてくれるもの。
(インタビュー終わり)

パウリンへのインタビュー、いかがでしたでしょうか。
今回は読者様に少しでもシャルガオ島の空気をシェアできれば幸い、と言う思いで書かせていただきました。
次回は、中米に位置する小さな国、コスタリカのサーフシーンを紹介する予定です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

林睦益(はやしともみ)プロフィール
1997年1月10日大阪生まれ 現在、国際基督教大学(ICU)3年
2017年の4月からスペイン語を学ぶ為一年間大学を休学。休学する直前にハワイでサーフィンに出会いその魅力の虜になった。
休学中には、ラテンアメリカやスペインでスペイン語を勉強する傍ら、現地でサーフィンを楽しむ一年を過ごした。
サーフィンに出会う前から旅が好きで今までに20ヶ国訪問。

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