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開催:2025年2月12日(水) 〜 2月13日(木) 会場:パシフィコ横浜詳細 »
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コラム

柴田康弘『第4回 サーフィンの力・ウェルビーング』

2024/06/05 tag: 柴田康弘

前回は、静波パラサーフィンフェスタのパラサーフィン体験会をご紹介させていただきましたが、その後5月25日~26日にパラサーフィンの世界大会JapanOpenが開催され、ボランティアサポート参加させていただきました。
国内外(アメリカ、ハワイ、オーストラリア、カナダ、イギリス)から、約50名のトップパラサーフィン選手の方が参加され、試合を行いました。
試合は、障がいに応じて、9のクラスに分かれ、ヒートが行われました。

・手足の欠損または、先天性の障がいがある方が立って波に乗るStandクラス
・膝をついてパドルを持たずに波に乗るKneelクラス
・パドルを持って座って波に乗るWaveskiクラス
・視覚障がいのある方が立って波に乗るVisionクラス
・腹ばいの状態で波に乗るProneクラス …等々

それぞれの障がいに応じて、使用するボードや乗り方、スタイルを波に合わせて乗る姿には、クラスごとに見ごたえがあり、また障がいを感じさせない、ライディングに会場も大喝采で沸き上がりました。

そんな中、特に印象に残ったのは今回初めて設置され、各クラスに属さない障がいを持った選手がエントリーできるオープンクラス。
ダウン症を持つパラサーファーとして日本で初めて出場した、菊地翔万選手です。大会の最高得点10点満点をとり、会場は感動の渦に沸き立ちました。

 

菊地選手がサーフィンと出会ったのは、4年前の高校1年生のときでした。
試合後に、菊地選手のマネージャーのように付き添われている、母恵美子さんにお話しを伺いました。
コロナ禍で何もできない焦りを感じていた時に、海やプールが大好きだったことからサーフィンに挑戦しました。
最初の体験からすぐにハマり、「またやりたい!」と意欲を示しました。
周囲にサーファーがいない中、「凄いね!」と言われることが誇らしく、目的意識が芽生え、生活にメリハリが出てきたそうです。
これが彼にとって初めての「自分の好きなこと」との出会いでした。
サーフィンを通して社会と自然に繋がり、学校でも積極的に取り組むようになり、落ち着いた態度を見せるようになったそうです。

この経験により、母親としての将来への心配は軽減され、希望に満ちたものに変わりました。
彼の自己肯定感が向上し、家族全体が彼を誇りに思うようになりました。
サーフィンとの出会いがすべてを劇的に好転させ、新しい世界を開いてくれたことに、親として感謝されているそうです。
今回初めてパラサーフィンの大会に出場してみて、菊地選手本人に感想を伺ったところ、「全力で頑張ったので、今は(身体は)疲れているけど、気分は最高!」と語ってくれました。
また、母の恵美子さんは、今回、ダウン症を持つサーファーとして、日本初の挑戦だったので、まず出場させて頂けた事に感謝しつつ、身体障がいがある訳ではないので、従来のパラサーフィン大会の9つのカテゴリーには入る事が出来ません。
身体障がいはないけれど、知的障がいによって、脳の運動機能の壁や、ダウン症の特性である筋緊張の低下により、姿勢の維持やコントロールの難しさや、感覚過敏など、沢山のハードルがあります。

その上で、今回「オープンクラス」という、9つに属さないクラスが初めて設置された事で、挑戦する事が出来ました。
ただ本当に無謀でした。属さない方々だけに、ハイレベルだったので、場違いを密かに感じておりました。
初心者フォームからなかなか脱却出来ない息子が、初めてのあの様な高さと癖のある波を丁寧に乗れたのは、ミラクルでしかありません。
それもこれも、絶妙なタイミングで押して下さったピッチャーの方々と、全力で応援して下さった皆様の愛情のお陰です。
直前は恐怖を感じていたそうなので、皆様の応援で、自分の力を信じる事が出来ました。
大歓声を浴びるシーンには、涙が出てきました。沢山の素晴らしいパラサーファー達と交流出来た事も宝物です。

 

と振り返って語ってくれました。
これからの目標を、菊地選手は

「今回知り合った海外選手に会いに、ハワイの大会に行くこと!」

母恵美子さんは、「まずは、サポートする私が元気でいないと成り立たないので、自分自身の健康維持、そして、出会いを大切にしていくこと踏まえ、
DS繋がりの方々への周知も少しずつ頑張って、DSパラサーファーを増やしていけたら、と願っています」
とそれぞれ語ってくださいました。

サーフィンとの出会いで、菊地選手は自己肯定感が増し、目的意識が芽生え、すべてを劇的に変えてくれました。
昨年は体験会の参加者だったサーフィン大好きなSho君が、1年後にはパラサーフィン菊地翔万選手として立派に大会に出場し、見事最高得点のパーフェクト10のライディングをきめる。
そんな菊地選手に憧れるダウン症をお持ちのキッズサーファーもフォロアーとして増え、周りの人たちに夢と希望を与える存在となってきました。
そんなサーフィンの持つ力を、今回菊地選手から私達は改めて教えて頂けました。
波に乗る動きは、進んでいく水の上に浮かびながら縦横斜めに、他のスポーツでは味わえない感覚です。また、水、海水、ゆらぎ、水しぶき、音、それぞれに癒し効果があると言われています。
その海に浸かりサーフィンから得られる癒し効果と、喜びを分かち合う仲間とのつながりの相乗効果でウェルビーング(幸福感)が高まるのではないかと思います。
これからも1人でも多くの方に、サーフィンを通したウェルビーングを感じていただき、同じ思いを共有する波を拡げてまいりたいと思っております。

 

  

 

柴田 康弘プロフィール
一般社団法人サーファーズケアコミュニティNami-nications代表理事
葉山、鎌倉で介護事業を経営。
2015年に、仕事を通して出会った医療介護福祉系サーファーの仲間と、Nami-nicationsを立ち上げ。
現在は様々な障がいをお持ちの方のサーフィンサポートとつながり作りを行っている。
Nami-nications:https://nami-nications.com/
<Instagram>
@nami_nications (Nami-nications)
@yasuhirophillipshibata (柴田康弘) 

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