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コラム

藤原智貴『第1回 パラサーフィン』

2023/12/06 tag: 藤原智貴

みなさん初めまして、パラサーファーの藤原智貴と申します。
これから4回のコラムにお付き合いよろしくお願いします。
私の事を語る上で、パラサーフィンの事をまずはお話させてください。

パラサーフィンと聞いて知っている、もしくは聞いたことあるっていう人は日本ではまだ少ないかもしれません。
パラサーフィンは2020年の世界選手権まではアダプティブサーフィンと言われていました。
アダプティブとは直訳すると「適応」という意味です。
つまり、障害者でも出来るようにクラス分けやルールを適応させたサーフィンのことを、アダプティブサーフィンと言います。
障害者サーフィンというと、海に入れてもらって波に乗せてもらうといった体験的な福祉的なものをイメージされる方が多いと思いますが、障害があっても工夫をして波に乗る競技をパラサーフィン(アダプティブサーフィン)と言います。
※パラサーフィンとアダプティブサーフィンの名称の違いはなくISAやJOCではパラサーフィンという名称を用いているが、選手間ではアダプティブサーフィンのほうが馴染みがあるため、現状は明確な区別がなく混同されている。

クラスは9つのカテゴリーに分かれていて、身体的な障害が7クラス、視覚障害の2クラスで分類されています。
ちなみに私のクラスは身体障害の最も重いPS-7 PRONE2というクラスで出場しています。


NSA HPより 2023年パラサーフィンクラス分類

2020年東京オリンピックでサーフィンが正式種目となり盛り上がりを見せる中、残念ながらパラサーフィンは正式種目になりませんでした。
ですが、将来パラリンピックで、この競技を正式種目にという動きが世界的にあります。
そして、今年の1月にロサンゼルスパラリンピックの追加競技として、パラサーフィンとパラクライミングの2種目が検討されると発表がありました。
最終決定の発表は年末と言われていたので、今月中には何かしらの発表があると思いますので注目です!
世界に目を向けると、かなり前から大会をやっている国もあり普及にも歴史があります。
日本では認知や普及も含め遅れている感じがします。
それでも年々、大会やエキシビジョン、イベントなどを全国のいたる場所で開催されるようになり、日本でも徐々に盛り上がりをみせています。
その理由の一つとして2015年から世界大会が始まり、日本も2016年の第二回から参加しています。
私も第三回の2017年から日本代表として出場してきました。
2023年も9月に開催された全日本選手権を優勝し、日本代表として11月5日〜11日の日程でハンティントンビーチで開催された世界選手権に出場して来ました。
結果は3位Bronze Medal!
昨年も3位だったので悔しい気持ちが大きいでが、また1年間しっかりと準備して、来年の世界選手権に向けて頑張りたいと思います。

私は小学校で柔道、中学・高校で卓球、社会人になってスノーボード・サーフィンと、子供の頃からずっとスポーツをやってきました。
今ではパラサーフィンで日本を代表して世界で戦っています。
スポーツをしていたおかげで、入院中のリハビリも『大変だったでしょう?』とよく言われますが、高校の部活の厳しさと比べれば大した事なかったです。
私はサーフィン中に首の骨を粉砕骨折したことにより、頸髄損傷という障害を負いましたが、頸髄損傷で出来る障害者スポーツは限られます。

退院後に出来る競技を見に行ったり体験もしましたが、結局サーフィンに戻ってきました。
サーフィンで怪我をしたので家族に心配かけまいと海を遠ざけていたのですが海からは離れられませんでした。
サーフィンをやらない人からは、サーフィンで怪我をしたのに、またサーフィンするなんて頭おかしいと言われることもありますが、このコラムを読んでいる方のほとんどがサーファーだと思うので、サーフィンから離れられない私の気持ちがわかると思います。
サーフィンの魅力を知ってしまうと、そう簡単に離れられるものではありません!
私が怪我をして障害者となり、サーフィンを再開する時も、海とサーフィン仲間は以前と同じように私を受け入れてくれました。
まさにスポーツをやっていて良かったと思える瞬間でした。
入院中に海外の有名な車椅子陸上のレーサーが『健常者はスポーツをしたほうがいい、でも障害者はスポーツを「するべき」だ』と言っていたことが今ではよくわかります。
パラスポーツは精神的な部分も大きいですが、何より残った機能でスポーツをする事により普段の生活にも生かせるからです。
もちろんスポーツをするまでに健常者とは比べ物にならないほどの壁があり、それは障害が重ければ重いほど大きくなります。
健常者はどこか痛かったり時間がないなどの理由でスポーツを諦めることが多いですが、障害者は痛みや痺れ以外にも人によって様々な問題を抱え、日常生活も大変な中で競技をしています。
パラスポーツを見るときは、そのスポーツに至るまでの背景に目を向けていただけるとより楽しめると思います。
思い返せば私の人生には常にスポーツがあり、私という人間を形成するうえでなくてはならないものとなっています。
今ではその中心がパラサーフィンです。
障害者となりましたがスポーツの魅力や素晴らしさを伝えられる選手の1人として、身体が動く限りこれからも活動していきたいと思います。

 

藤原智貴 プロフィール
1974年生まれ パラサーファー(障がい者サーファー)
2009年サーフィンの練習中に頚椎粉砕骨折により頸髄損傷の大怪我を負う。
生死を彷徨いながらもなんとか一命をとりとめリハビリに取り組めるまでに回復はするも、
胸の半分から下の身体は動かず両手の握力も失い車椅子ユーザーとなる。
一年半の入院生活を終え退院後、仲間のサポートのもとサーフィンを再開。
今ではパラサーフィンと講演活動で相棒の介助犬ダイキチと全国を飛び回っている。
Instagram: @tomokichi_surf

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