映画『ライフ・オン・ザ・ロングボード2nd Wave』。
吉沢悠演じる主人公梅原光太郎が東京オリンピックへ挑戦するまでを描いた人間再生物語。
僕を含め製作者の思惑としては、東京オリンピックの正式種目になったサーフィンが、
日本選手の活躍によって盛り上がり、同時期に公開された映画も大ヒットと言うシナリオでした。
しかし、コロナによって一年間延期された事で、若干消化不良気味になったのは正直残念でした。
とは言え、配信を含め前作同様沢山の方に観ていただき感謝感激です。
今作の決め台詞「人生もサーフィンも大切なのは、バランスとタイミング。」は、
僕にとっても人生で一番大切にしている信条です。
バランスとタイミングを間違うと、ボードには立てない。
それは人生も同じ。
ただし、波は無限に押し寄せ何度でも繰り返し挑戦するチャンスを与えてくれる。
失敗は次の挑戦への教訓になっていく。
僕が「人間再生」をテーマに作りつづけている映画の題材にサーフィンはピッタリなんです。
©Life on the Longboard 2nd Wave製作委員会
キャストは物語の違いから入れ替わったものの、スタッフは半数以上が15年前の一作目と同じ。
少しロートルになったものの撮影、編集技術の進化により、
より迫力のあるサーフィンシーンが撮れたのは監督として最大の収穫でした。
一番の進化はドローンの存在。15年前は、空撮ならヘリコプターが常識。
経費も高く、諦めるのも常識だった。
それがドローンの実用化により、空、地上、海上の3角度から臨場感溢れる
サーフィンシーンを撮れたのは嬉しい進化だった。
そしてサーフィンシーンに欠かせない存在が両作に参加してくれている水中カメラマン土屋高弘さん。
サーフィンを撮らせたら間違いなく世界一のカメラマンだと断言出来る。
僕は砂浜でアバウトな注文をするだけで、実際、海上のサーフィン撮影は、彼に任せっきりだった。
前作は大杉漣演じるサーフィン初心者のおじさんが挑戦する物語だったので、
迫力より表情を中心に追ったが、今回はオリンピックに挑戦できる技術を持ったサーファーが主人公なので、
激しいサーフィンシーンの描写は必然的に重要だった。
主役の吉沢悠さんは、元々サーフィン経験は豊富だったものの、役作りとして更に高みを目指す為に、
なんとオリンピック強化選手と共に、千葉と下田で2回の合宿を実施。
演出の期待に応えようと賢明に取り組んでくれた。
他のサーファー役の俳優陣も、それに刺激を受けるように、練習に励んでくれたおかげで、
種子島の波の力を借りつつ、僕が知る限りのサーフィン映画と比較しても、
ベストと自負出来るサーフィンシーンが完成した。
コロナ前にはJAL国際線全便で機内上映され、海外のサーファーからも温かいメッセージをいただいた。
今年、ポルトガルでも上映されたので、来年はブラジル、米国、豪州での公開も交渉している。
更にサーフィンポイントを要する日本全国の地域から、
『ライフ・オン・ザ・ロングボード3rd Wave』を誘致したいとのお誘いもある。
今、世界は、映画の撮影時には予想も出来なかった「コロナ禍」と言う
未曾有の大惨事に巻き込まれている。
3rd Waveが実現するかは別にして、人間には再生するチャンスが無数の波のように必ず訪れます。
その中には、あなたが乗れる波が絶対に見付かります。
バランスとタイミングを大切にして、人生の荒波をみんなで乗り越えていきましょう。
LOVE & PEACE。
Forever 人類&地球&サーフィン。
(おわり)
※映画『ライフ・オン・ザ・ロングボード』『ライフ・オン・ザ・ロングボード2nd Wave』は
現在Amazon prime video等の配信でご覧いただけます。
喜多一郎 プロフィール
映画監督、脚本家 プロデューサー 作家。
株式会社オフィスキタ代表取締役 城西国際大学メディア学部特別客員教授
「人間再生」を一貫したテーマにオリジナル脚本で12本の映画を監督。
テレビ番組、CM等、1,000本以上の映像作品を手掛ける。
音楽プロデューサーとしても1985~90年代に数多くのヒット曲を生み出す。
今年4月、大磯に総合プロデュースをしたカフェ「OISO CONNECT CAFE」をオープン。