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コラム

小西隆文『第1回 ライダーとしての心構え』

2020/09/30 tag: 小西隆文

Konishi Takafumi Photo

はじめまして。南国徳島で生まれ育ったにもかかわらず、サーフィンじゃなくスノーボードのプロになった小西隆文です。
実家から30分でUZUPAという無料で滑れる素晴らしいスケートパークがあるにも関わらず、雪に埋もれる長野県は黒姫山のふもとに住んでおります。サーフィンは自然と戯れ、自分の無力さを思い知らされる最高の遊びです。スケートボードは自分と向き合うことができる自分みがきの遊びです。その2つをたしなむことがスノーボードに生かされることは言うまでもありません。

僕がなぜスノーボードにハマったとかいう話はいくつかの雑誌でインタビューしていただいたので、そういうとこでできなかった話を書きます。
よくメーカーの人間との飲みの場で出てくる「ライダーとしての姿勢」というめんどくさい話に挑戦したいと思います。

ライダーの定義はメーカーに認められ用具を提供してもらっている人、というのが元々だと思うのですが、ローカルライダー、ショップライダー、最近ではSNSライダーなんて様々な形態のライダーがいます。メーカー、ショップが求めるのはそのライダーの影響力でブランドイメージが良くなること、商品が売れるってことです。ショップレベルだとただ単に応援してるからとライダーにする場合もあります。自分も初めはそれでかなり助けられました。

おじさん的な私見になりますが、上に書いたことが理解できてなく、道具もらえた、ライダーだ、俺ってイケテるー。と調子に乗りがちな若者が昔から一定数いますよね。

僕がサポートしてもらってるROME SDSは[STOKEN]というフリーセッションイベントを毎年行っています(今年はコロナの影響で中止)。お酒を飲みながら特設パークで滑りを楽しむ春のお祭り的行事で、過去にはイベント中に3リットルのジャックダニエルが消費されるなど、ROMEチームは酒を飲む、という噂がこれで広まったとかどうとか。

そんなイベントの前夜祭でROMEライダーがほぼ揃ってるなか、若いライダー達に向け僕はこうスピーチしました。「あれ、アイツ来てたんだってことにならないように爪痕を残していこう!明日目立てないとライダーじゃ無いよ」酒の飲みっぷりなのか、滑りなのかその時すでに酔っ払ってたのでみんながどういう反応をしたかは覚えてませんが、次の日はみんながアツイ滑りを繰り広げるよいセッションになりました。

24歳からプロライダーとして金銭契約をかわしてから20年近くスノーボード業界のメインストリームといわれる場所で活動してきました。How toに出まくったり、夏にウェアを着てポーズをとって写真を撮られたり、やりたく無いなーと思いつつも、これもライダーの仕事だ、声をかけてもらえるのはありがたいことだと考えてやり続けてきました。もちろん後悔はしてないし、自分で言うのもなんですが、小西が出てるHow toの反響はかなり良かったのです。「俺、How toはやんないっす」なんて答えているライダーに少し嫉妬を感じましたが。
自分が「イケテナイ」と思うことをやりつつ、いつも心の中で思ってたことはそれ以上のイケてる滑りをする、イケてる映像や写真を残してやる、ということでした。これは自分のやる気にかなり影響を与えました。How toめっちゃやってるけど、それ以外での露出がないってことには絶対したくなかったのです。

結局滑りでみせてやるから見てろ。

その強いマインドのおかげで今も活躍することができ、スポンサーとも良好な関係を築くことが出来ているのです。

Konishi Takafumi Photo
             STOKEN 2018 言うだけじゃなく、ちゃんと滑りでお手本を見せる。


STOKEN 2018 言うだけじゃなく、ちゃんと滑りでお手本を見せる。

 

小西隆文プロフィール
1978年生まれ徳島県出身。息子を2人持つ現役プロスノーボーダー。
ハーフパイプ、BIG AIRなどフリースタイル種目での大会活動を終え、カナダやアラスカでのバックカントリー撮影に没頭すること15年。最近では激しい斜面のために鍛えた滑りで、天神バンクドスラロームや東野圭吾主催による賞金200万円の大会で優勝するなど業界ではリザルトを残す男として有名。

 

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