コラムをご覧の皆様、こんにちは。
気づけばコラムも第3回目。今回もよろしくお願いします。
夜、風の音で目が覚めた。
頭上で木々が揺れている。
ここは富山県のある山の中。
予報通り風が強い。
足の先を何かが押してくる感覚。
、、、何だ?
隣人かとも思うがどうも違う。
時計を確認、時刻は4:20。
夜と朝の間。
目を開きシュラフから顔を出す。
まだ真っ暗だ。。。
寝ボケて頭が回らない。。。
いや、それにしても暗過ぎる。
!!!
雪だ、、、、。
昨晩から降り出した雪がテントを押し、それが足先を押していた。
それどころかテント自体が埋められそうになっている。
「除雪しなきゃ」
暖かいシュラフからモゾモゾと抜け出し、隣人をなるべく起こさないよう静かにジャケット羽織り外に出る。
強風や降雪の予報は出ていた。その風対策にテントの周りは雪のブロックで囲んである。(途中からブロックを切り出し、積むのが楽しくなって立派すぎる風防になった。)
おかげで静かなテントナイトを過ごせたが、雪が予想以上に吹き溜まってしまった。
う〜ん、、、これも勉強だなーなんて事を考えながら寝起きの一服をしつつ雪を掻き出しテントの周りをサクッと一周。
除雪完了。
再びテントに入る。
夜明けは近い。
5時には起床予定。このまま朝の準備に取り掛かろう。
限られた空間の中でスペースを作り、テルモスの湯を温め直す。
温まった湯を鍋に少し残して呼び水に。
雪を溶かして水を作る。
冬のテント泊では水作りはかかせない。
雪が少しずつ溶けて水になっていくのを眺めながら、今まで色々な所でテン泊したなーなんて思いに更ける。
始まりは家族でのキャンプ、次はサイケデリックな音や体験にはまっていた若かりし頃のレイヴ、そして日本の夏山やアラスカ、南極。
中でも記憶にも新しく、自分の中で強烈な体験、インパクトとして残っているのはアラスカと南極大陸。
どちらも某TV番組の登山企画で北米大陸最高峰、デナリ(アラスカ)と、南極大陸最高峰、ビンソンマシフ(南極)に挑戦する企画。その中で山岳サポート隊員として参加させて貰った。
Denali/Alaska2015
アラスカは6月、南極は年末年始にかけて行っていたのだが、その時期はどちらも白夜。
太陽は沈まない。
夜中でも夕方の黄昏時の様な薄明るさでそのまま夜が明ける。
特に南極では太陽は滑る様に横に動き、自分の周りを回っている。
宇宙の中に太陽と地球があって、今自分が自転する地球上の極地にいる事がリアルにイメージ出来る。
山の影に太陽が入った時がナイトタイム。気温もグッと下がる。
(南極の雪。時期的に降雪はあまりないが天気が良いと表面霜の様な雪に。サラサラで走りそうな雪)
(南極は広い。ただただ広い。そして遠い。)
余談だが南極には雪板(snowtoy)を持って行った。仕事に遊びの道具を持って行くのは少々、いやかなり気が引けたが、snowtoyなら軽く、ダッフルバッグにも収まる。最悪ソリの様にも使えるな!などと自分の中で都合のいい理由を作り荷物の隙間に挟み込んだ。笑
正直な所は南極大陸で横ノリがしたい。ほんの少しでもいい。それだけだった。
Snow toy in Antarctica
(snowtoyのshapeは富山の先輩Hさん、ありがとうございます。)
仕事は正直キツい。
頑張ったおかげで?笑
隊は無事登頂。空いた時間のほんの少しの時間ではあったが滑る事が出来た。
base campのスタッフのスノーボードが倉庫に立て掛けて有ったのは見たが雪板は流石にない。
おそらく人類初?の南極free foot ride!!!
最高!
世界中から集まっている登山隊や南極点を目指す人達からも、
「なんだそりゃ?」
「木で出来てるのか!」
「いいな!」
なんて興味を持ってくれたのは嬉しかった。
横ノリは軽く国境を越える。
フリーフットは雪があれば老若男女問わず誰でも出来る。楽しめる所が良い所。
この時は少ししか滑れなかったけど、途中で見た景色の中で滑れそうな所は沢山あった。
(クレバスが怖いけど)
南極に渡る途中で見た南米の山々も良さそうだったし、ヒマラヤにも行ってみたい。
白夜は体験したから次は極夜も体験してみたい。そしてオーロラを見てみたい。
この先も行きたい所、見たい景色は尽きなそうだ。
思いは巡る。
どのくらい時間が経ったのだろう。
気づけば火にかけた鍋から勢いよく湯気が昇っている。
湯が出来た。
朝食を作ろう。
食べ終わったらミーティングして行動開始!
本日もご安全に!
今回はこの辺りで!
また次回!
よろしくお願いします。
中村俊啓(ナカムラトシタカ)プロフィール
1984/08/26
レギュラー
立山の麓に生まれ育ち、シーズンを通して山に携わる生活を送る。
横乗りライフをひた走る中、17/18シーズンに南極大陸にて雪板をメイク!!
自然から受ける恩恵に日々感謝し、inputしたものをいかにoutputするかを日々模索中。
立山ガイド協会 所属 登山ガイド
国立登山研修所 研修助手
富山県登山指導員
雷鳥研究会
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Instagram:@toshitaka_nakamura