皆様こんにちは。
今の時期、台風スウェルを満喫されているサーファーの方々も少なくないのではないでしょうか。
私の担当するサーフコラムもいよいよ最終回である4回目になります。
最後に取り上げる国はインドネシアのスマトラ島です!
皆さん、スマトラ島ときいて思い浮かぶものは何でしょう....? 地震?ジャングル? オランウータン?
世界には私たち日本人が知らないようなあらゆる場所にサーフポイントが存在しますが、スマトラ島にはそれはそれは素晴らしいサーフィン天国があるのです。
今回インタビューしたサーファーはスマトラ島のメンタワイ諸島出身のトーという男性です。
(サーフィンをするトー)
私:メンタワイと言う場所について教えてください。
トー:メンタワイはスマトラ島中心部から西に130Kmほどのところに位置していて、主に4つの大きな島があって他にも無数の小さな島々から構成されているよ。島々には、元来から生活する原住民がいて特有の文化があり、メンタワイの島々には数え切れないほど奥のサーフスポットがあって、波のサイズとかブレイクを場所によって選べるんだ。僕は元々、メンタワイの島々を移動するボートの乗組員をしていたんだ。
私:じゃあトーがサーフィンを始めたきっかけは何だったの?
トー:僕がまだ12歳だったある日、友達が僕をビーチに連れて行って、「今から僕たちはサーフィンをするから浜で見とけよ。」と言ったんだ。その時は正直、なんで見させられるのか、と思ったよ。でもその後少し興味が湧いたから何日かたった後にトライしてみたんだ。そうしたら楽しすぎてハマっちゃって。彼らが僕の人生を変えたんだ。いい意味でね。
私:トーはたまたまサーフィンをするのに最高の場所で生まれ育ってラッキーだったね。
トー:その通り、メンタワイは世界一のサーファーズパラダイスだと思っているよ。でも、現地で生活している人にとってはただの楽しい場所じゃないんだ。大多数の人は貧困で、島の僻地に住む子供たちは安定した教育を受けられていないこともしばしば。衛生の問題としては母子死亡のケースが高かったりね。サーファーにとってはパラダイスだけどこの裏の現状を無視するわけにはいかない。でもそうすぐには変えられないんだ。だからといって知らないふりをするのも違うからまずは皆が問題意識を持って考えることを試みる必要を僕は感じている。
私:そうだね、サーフィンしにくる人たちもメンタワイのサーファーも現地で生活している人の存在があってはじめてサーフィンができるから、現地住民のことを蔑ろにしてはいけないよね。
(ボートに乗ってアイランドホッピングする観光客とサーファー達)
トー:サーフィンを始めとした観光を通してみんなの生活に還元できれば良いと思う。メンタワイは世界中からその最高の波を求めてサーファーが集まるから。実際に行われている良い例として、メンタワイで行われるサーフィンの大会をとおして募られた資金や募金で現地の衛生機関の発展や、母子健康促進プロジェクトに使われたりするんだ。
私:サーフィンを通して現地住民の人々を助ける取り組みはとても面白いね。
トー:いくら観光の為、お金儲けの為といって何でもしていいわけじゃない。島の人、村の人の信頼を得て、一緒に足並みを揃えたサーフィンの環境を作っていかないといけないと思うんだ。
(トーがボートの乗組員だった時の写真:左から3人目)
私:では最後の質問。もしサーフトリップに今行くとしたらどこに行きたい?
トー:どこにも行かないね。メンタワイの波が一番だから。お金もそんなにないし、僕自身まだまだメンタワイで乗っていない波があるからもっといろいろ冒険してみたいっていうのもある。
(インタビューおわり)
日本から飛行機を3回ほど乗り継がないとたどり着かない秘境の場所、メンタワイ。
そこにはサーファーを支える現地の人々と、彼らを決して忘れないサーファーたちの姿がありました。
そんなサーファーズパラダイスにボートに乗って極上の波を求める旅もいかがでしょうか。
以上、4回目のサーフコラムとなります。
ここまで4回のコラムを執筆させていただける機会をいただけて大変光栄に思います。
少しでも世界のどこかで行われている現地の人々、サーファー、波の営みを読者様にお伝えすることができていれば幸いです。
皆様とどこかの海で出会えることを願って....。
林睦益
林睦益(はやしともみ)プロフィール
1997年1月10日大阪生まれ 現在、国際基督教大学(ICU)3年
2017年の4月からスペイン語を学ぶ為一年間大学を休学。休学する直前にハワイでサーフィンに出会いその魅力の虜になった。
休学中には、ラテンアメリカやスペインでスペイン語を勉強する傍ら、現地でサーフィンを楽しむ一年を過ごした。
サーフィンに出会う前から旅が好きで今までに20ヶ国訪問。