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surf columnSURF COLUMN 2009/6/17  
Kizuna
Meiko Shinomiya
(株)COSTA BLUE代表
雑誌編集のかたわら翻訳などいろんなお仕事楽しんでます!
湘南・鎌倉在住。波があったら七里ケ浜で入っている、はず…。
FLipper』『SURFERGiRLS』および4月下旬創刊フリーマガジン『湘南SURF JOURNAL』編集長
1回目 2009/4/15 『人生の台本』
2回目 2009/5/20 『サーフボードを持たない旅』
3回目 2009/6/3 『ボーダレスな海』
4回目 2009/6/17 『無人島に行ったら、生き残るのはサーファー?!でしょう』

『無人島に行ったら、生き残るのはサーファー?!でしょう。』


先日、フリーマガジン『湘南サーフジャーナル』のお仕事で、
俳優でサーファーの坂口憲二さんと鎌倉在住のフォトグラファー横山泰介さんの対談をさせていただきました。

テーマは、“僕たちが湘南の海に感じるもの”。

坂口さんに初めて出会ったのは、
数年前にロングボード雑誌『オンザボード』のコラムでインタビューさせていただいたとき。
このときは、彼が大学時代に住んでいたハワイでのサーフィンライフについてお話をおうかがいしました。
取材場所は、プロレスラーとしても有名なお父様、坂口征二さんの狛江市にあるジムでした。
そのときは、「この人、本当にサーフィンが好きなんだな」と素直に驚いたのを覚えています。
その後も、何度か『サーファーガールズ』や『サーフィンライフ』などで
坂口さんが日本全国をサーフトリップするBS-iの番組「海から見た、ニッポン」に絡めて、
彼のサーファーとしての素顔に迫るインタビューさせていただく機会がありました。

坂口さんは、2007年の『サーファーガールズ』イケメン・サーファー人気投票で
ケリー・スレーターやアンディ、ブルース、ラスタなどをさしおいて、
堂々のグランプリに輝いたこともありました! 
それには、坂口さんご自身もびっくり。
照れながら、とっても喜んでいらっしゃいました。
「次回は“抱かれたい男No.1”でお願いします!」なんて、冗談をおっしゃってましたが、
素の坂口さんは“俳優”というよりも、誰も否定できないくらいに真のサーファーで、
このグランプリは彼自身、ひとりのサーファーとしてとっても嬉しかったみたいです。
「もっと、サーフィン上手くならなきゃな…」ともつぶやいていたのを覚えています。

坂口憲二さんが「海から見た、ニッポン」という一般のTVメディアを通して、
サーフィンというもの、サーファーというもの、そして海の環境問題などについて
彼自身の生の言葉で多くの人たちに訴えかけた影響力は非常に大きかったのではないかと思います。
彼自身が「僕は俳優という立場にいるから、
それを利用してもっと広く多くの人にサーフィンや海の現状についてわかってほしい」と言っていた通り、
伝道師としての功績は多大なものだったと私は思います。

その後、湘南に波があるときには、ちょくちょく鎌倉・某所の海でもばったり出会うことが多く、
いつも海の中でも「元気~?」とか「GO GO!」とか気軽に声をかけてくれていて、
私はなんだかとても恐縮していたのを覚えています。
「ああ、今日は久しぶりに湘南、波いいな…」と思って(仕事をさぼって)海に出ると、
必ずと言っていいくらいに坂口さんに会っていたので、
「本当に多忙な中、よく波乗りする時間があるなあ」と感心させられるくらいでした。

そして「海から見た、ニッポン」も今回で第三章の最終章を迎え7月24日にDVDも発売になるようですが、
番組の収録を見ていると、どんどん坂口さんの目がサーファーの目になってきているのがわかります。
毎回、見る見るうちに、サーフィンが上達している!
そりゃ、北海道から沖縄まで全国をまわって旅して、いろんな波に乗っていたら、上手くなりますよね…。
うらやましい…。

なんだか前置きが長くなりましたが、
そんな坂口さんと私が、人として、サーファーとして、フォトグラファーとして、
そして、あらゆる意味での表現者として敬愛する横山泰介さんとのクロストーク。
泰介さんは、「海から見た、ニッポン」の出演者兼カメラマンでもあり、
ずっとサーファーとしての坂口さんを見守っていた存在でもあります。
そんな師匠と坂口さんとの対談からは、本当に貴重なお話をたくさん聞かせてもらいました。
1時間半もの間、湘南という場所について、海について、サーフィンについて、
はたまた現代の日本社会について、政治家についてなどのお話をしていただき、
「これは1回のインタビュー記事でおさまるのかしら?」と不安になるくらい、
共感させられる盛りだくさんの内容でした。

その中の話題のひとつが、今回のタイトル“無人島に行ったら、生き残るのはサーファー”です。

今の日本の政治家の話になり、泰介さんがこう言います。

(7月に発行となる『湘南サーフジャーナル』では全文を掲載できないかもしれないので、
ここでちょこっとだけ書かせていただきます…!)
横山: 昔の政治家は、みんなかっこいいのよ。
口数多くないし何も言わないけど、やる時しっかりやるし。
うちのおやじ(風刺漫画家の故・横山泰三氏)は四国生まれで頑固。
社会表現で朝日新聞の一面に政治家の悪口を書いた。
ひねた感じで世の中を茶化してるわけ。
そういう性格をたぶん受け継いでいるね(笑)。
親父は、“政治家”と言わなかった。
いつも、「日本の政治家は品のない顔をしている。“政治屋”だ」とか平気で言っていた。
うちのおやじは批評家だから、そんなことを書くわけ。
「昔の人はいい顔していたな」といつも言っていたよ。
坂口: 昔の政治家はそうだったみたいですね。
横山: 男っていうのは、やっぱりああいう奴がいいのかなと思うんだ。ほんとにかっこいいもん。
で、「今の日本で、人として尊敬できる政治家なんてあんまりいないですよね?」と私が聞いてみたら
横山: 「尊敬」という言葉を久しく聞いてないなあ。
坂口: 悪いことで目立つ人ばっかりで、いいことで目立つなんて稀にあるかないかで。
サーファーは、金持ちとか、偉いとか、地位とか名誉で人を見ない。
人間で見るでしょ。
そうなると政治家の見方なんて変わってきて当たり前だと思う。
本物か本物でないかだけで見る。
それは政治家でもサーファーでも一緒。
政治家でもたぶん本物はいるし、それはサーファーが見たとしても見つけられる。
今はフェイクばっかりで、それすらもいないってことでしょ。難しいよね。
横山: 人間ってさ、自然の中にいると、ちっぽけな存在で、すぐ死んじゃうでしょ。
サーフィンをしていると、
自分が死にそうになって相手も死にそうになるっていう状況に出くわすわけ。
でも、そんなときにまわりに仲間がいたら助けるんだよね。
人の絆ってすごい。そして、自然の威力っていうのを思い知らされるよね。
それは普段の岸の上じゃ考えられないこと。その時に自然の凄さがわかる。
人間のつまらないこととかが、くだらなく見えちゃう。
「そんな経験が一度でもあったら、人生の価値観って変わってしまいそうですね」って聞いたら、
横山: 価値観の変わり方、凄いと思うよ。あいつら(サーファー)見ていたら。
一様に、まず人に優しくなるね。すごいよね。
そういう経験をしたサーファーって、みんな優しいんだよ。
坂口: 無人島に行ったら生き残るのは僕たちだよ。
人間の根本は、どっちだっていう問題だよね。
自然に詳しかったり、根本的な生命力っていうのは、生きていくうえで大事だと思う。
お金を稼ぐことだけじゃない。
横山: 本当のことって1割、10人いたら1人がわかっていて、
その1人がちゃんと伝えてあげたらいいようになってる。
本質は1人でいいのよ。僕は常々そう思っている。
だから、全員わかっちゃったら怖い世界になる。宗教と同じだよ。
(ここで、私、思わず
「みんな泰介さんになっちゃったら、すごい世の中になりますよね(笑)」と言ってしまう…。)
坂口: 最高だな。そしたら、戦争なくなるよ。
総理大臣、泰さんのほうが、麻生さんよりよっぽどいいと思うよ。
マニフェストで、3日間サーフィンさせてくださいよ(笑)。逆マニフェスト!
横山: 国のためなんか思ってやっている人は一人もいないのかもね。
よしんばいたとしても、いろんな思いに流されて、
最終的にはできなくなってしまう政治の構図で…。
公約をいくら宣言しても、なあなあになってしまう。
そんな人たちに日本を任せるというのも、どうかと思うよね。
日本人はすごい優秀な民族なんだから、もうちょっと何とかしないと。
あっ、だんだん違う話になってきた…。
坂口: わかりますよ。
サーファーは、要するにデカい波にいけるかいけないかだけの話で、
百の言葉より一本のライディングでわかっちゃうことができるから、
ちゃんと上下関係も生まれたりするんだと思う。
都会は全部、基本的に嘘なのかもしれない。
街では、嘘がと通ってしまうけれども、海では基本的に嘘は通用しない。ダメな奴はダメだし。
本物というか、真実をその中から自分で見つけないといけないでしょ。

ってな感じで、横山泰介さんと坂口憲二さんのクロストークが続いたのでした。

で、私の結論! 
海の男はかっこいい! 
そして坂口さんの言っていた通り、無人島に行って生きのびるのは、
自然の摂理を知っているサーファーだと思います。
だからこそ、もっともっと、サーファーが社会的に認められて、発言力をもって、
この世の中を変えてほしいなって、切に願います。

目指せ、“サーファー党”?!

この対談は、7月発行の『湘南サーフジャーナル』で掲載いたしますので、どうぞお楽しみに♪ 
そして、今回で私のコラム連載は終わりになります。
今まで読んでくださった皆様、ありがとうございました!

次回は、、、

登場してからのお楽しみ!ということで…。

最後に私の大好きな言葉で締めくくりたいと思います。(ちょっと強引?!)

Love your life you live,
Live your life you love !




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1回目 2009/4/15 『人生の台本』
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