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COLUMN |
SNOW COLUMN 2016/7/20 |
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『Happy New Season』
シアトルからI-5を北上し、ベリングハムを下りた所で542をひたすら東へ。
アメリカの田舎町特有のカジノを横目に、
グレーシャーのコーヒースタンドでお約束のラテを買いふたたび車に乗り込む。
いつもはそんなに混んでないベーカーハイウェイが今日ばかりはパレードの様に車が引っ切り無しに続く。
なんてったって今日はベーカーのオープニングデー。
しかも初日で72インチ(約1.8メーター)のフレッシュ。
マウントベーカーの歴史上”The Deepest Opening Day”とされた日。2009年11月13日。
駐車場につくと見慣れた車から久々に会う仲間達が下りてきて、
夏をどう過ごしてたとか、「そういや結婚したらしいじゃん!」とか、
雪が融けると共に一時解散した仲間達のプチ報告会が始まる。
日本全国に伝染しているバンクドスラロームムーブメントの火付け役、
マウントベーカーが一年で一番盛り上がるのはもちろん、Legendary Banked Slalomの週末。
でもじつはもっと盛り上がる一日がある。
それがこのオープニングデー。
この日ばかりはバンクーバーやポートランドエリアからもスノーボーダー達が集まる。
ベーカーを離れて6年が経つが、今拠点にしている白馬でも同じ様な空気が流れている事はたしかだ。
「シーズン初日」
今年もあと3ヶ月もすればそんな時期。
梅雨が空け、夏が始まり、終わって行く。
ちょっと夏の終わりは淋しいけど、ってことは冬にまた一歩近づいてきたという事。
ボジョレー解禁よりも、オープン戦開幕よりも、
雪山中毒のオレ達にとって何よりもテンションが上がるのがこのオープン初日。
雪山でのイベントは数あれど、シーズン初日は雰囲気が少し違う気がする。
この“イイ日”を当て込むにはフットワークの軽さとハングリーさがカギ。
ある程度予想は出来ても、その日は突然やって来る事もあるから、
11月後半になると週末の予定が急にフリー気味になる。
「あの山はいつオープンするんだ?」って、
各々の“あの山”の積雪情報をネットやら友達伝いで集め、ギアやスタッドレスなんかを用意し始める。
「そういえば予約した板をまだ取りに行ってない!」
「あ、ブーツも焼いてない!」
「去年切れたストラップそのまんまだ!」
「ワックス?ヤバ!ベースカサカサだわ!」
お約束のフレーズがあちらこちらから聞こえ始める。
毎年ちゃんと準備しよう!なんて意気込んでいても、大体無理なのが大体のオレ達。
空回りしてても、このソワソワがたまらなくいい時間。
山に住んでるとそのソワソワがより煽られる。
毎朝北アルプスのピークを眺めると、スノーラインがドンドン下がってきてるのがわかる。
パキーンと冷えた北風がそのピークを通り抜け、谷へと吹き込むと一気に冬モードへ突入。
するとその冷たい風が目覚まし時計にでもなったのか、それまで静かだった麓のエリアが急に活気をみせる。
冬だけオープンの飲み屋、新規オープンの店や宿、レンタル屋も突然忙しくなり、
見た事もない初籠もりのカワイイ女の子を目撃するのもちょうどこのタイミング。
「今年はあそこのリフトの女の子が超可愛い」ってな具合に山へ上がるモチベーションも高くなるもんだ。
オープン当日のリフトラインは雪に飢えたローカル達と滑り手で溢れかえる。
自分のホームマウンテンがまだオープンしていない場合は、
ちょっと遠くても欲望に身を任せて、一足先に滑れる場所を求め人が集まってくる。
こう考えると、シーズン初日というのは色んな山からの滑り手が集まっていておもしろい。
本当に滑り好きが集まるお祭りの日なのかもしれない。
それにまだ雪もメチャクチャいいってワケじゃないし、
脚の感覚も全然戻ってきてないからみんなのバイブスもどちらかというと緩め。
ガツガツしてないからイイ感じにシーズンの幕開けを迎えれる。
雪の多さや山の斜度に関係無く、日本中どこの山にも必ずやって来るこの特別な日がとにかく待ち遠しい。
こうやって夏のクソ暑い中文章を書いていると、余計にそう思うわけです。
ああ、早くソワソワしたい。ああ、早く滑りたい・・・・。
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