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skate columnSNOW COLUMN 2011/11/2

 

小泉保
東京都出身。
「スノースタイルパーク」を展開する(株)ボードスマートの代表取締役。
広告業界に25年、外資会社の日本に於ける広告コミュニケーションの立案、実施、検証を数多く手掛けた。シック(カミソリ)の「キレテナ~イ」、ティファール(鍋)の「取っ手の取れ~る」、ディズニービデオ「アラジン」は大ブレーク。そして、外国タバコ「KOOL」を担当したことが、後にスノービジネスに従事するきっかけとなった。2006年4月、日本で唯一、スノーボードパークを企画、造営、運営、広報、集客促進する専門会社「ボードスマート」を設立、現在に至る。
1回目 2011/10/5 『日本で唯一、スノーパーク専門会社の立ち上げ』
2回目 2011/10/19 『あればいい…ではなく、差別化、集客促進要因』
3回目 2011/11/2 『課題は新しいアイデアの母…サーフライドパーク』
4回目 2011/11/16 『「スノースタイルパーク」で働くディガーは専門職』

『課題は新しいアイデアの母 ・・・ サーフライドパーク』


こんにちは!
ボードスマートの小泉保です。 
今回は、「スノースタイルパーク」 独自の取り組み、「サーフライドパーク」 についてお話します。

それは5年前、ふたつの課題を発端として、ひとつの独自な企画にまとまりました。
ひとつめ ・・・・
ある日の、川場スキー場 副支配人 櫛渕さんとの打ち合わせの席でのこと ・・・
川場のゲレンデには今、使っていない場所があり、
その場所をどうにかスノースタイルパークで利用できないか、と打診を受けました。
ゲレンデのいちばん端、夏場は沢、冬になると雪で埋まり、上下に細長く、幅がせまい場所です。 
しかも、本来は沢ですから左右は壁。 
通常ならば、まずスノーパークには使えません。 
ウ~ン、その場で即答はできず、
一旦、会社に持ち帰って後日お返事しますと、回答を保留させてもらいました。


そして、ふたつめ ・・・・
川場スキー場との打ち合わせとほぼ時を同じくして、雑誌「スノースタイル」の磯編集長(当時)が、
プロライダー 田中ICHIGO総一郎(以下 ICHIGO)をつれてボードスマートの事務所にやってきました。 
彼は、新しいスノーボードの遊びのアイデアを温めており、それを具現化してくれるところを探して、
メーカー各社、専門誌各誌にプレゼンして廻っていたところです。
ICHIGOのアイデアとは、高く飛ぶ、長く擦るなど、難しいことや危険なことをして遊ぶのはもういい、
サーフィンがその時に来た波を、あるがままに楽しむように、
スノーボードも地形のあるがままに、そこにある雪壁を波に見立て、おおらかに左右に振りながら、
長い距離をゆったり流せたらきっと楽しい、これをどこかで実現できないか、というものでした。
勘のいい読者の皆さんならもうおわかりでしょう!
ここでふたつの課題 - スキー場のニーズと、ライダーの新しいものを求めた遊び心のあるアイデアが
相互に繋がり、川場スキー場に、全国で初めて「サーフライドパーク」が誕生しました。

その後数年、そして今年も 「サーフライドパーク」は発展を続けています ・・・ 例えば、
その1 ・・・・・
磯編集長とICHIGOは、できたばかりの 「サーフライドパーク」の広報に頑張ってくれました。 
彼がSAGのクリエイティブディレクターを勤めていた縁で、
友人のプロスケートボーダー(岡田晋)、プロサーファー(中村竜)、プロピストバイカー(花澤洋平)らを
「サーフライドパーク」に招き、彼らに、自分の発想で自由に滑ってもらいました。
壁の内側を、中村竜はサーフィンのようにカービングし、
花澤洋平はピストのようにバンクを攻めなどなど、
従来のスノーボードでは知らなかった地形の遊び方をタップリ教えてくました。
磯編集長はその感想を取材し、鋭く過激にアイテムを攻めるなどなど従来のスノーパークの遊び方から、
ゆったり地形を楽しむ 「サーフライドパーク」 へ ・・・ これは「確かな変化、新しい」と、
素晴らしい広報記事にしてくれました。

その2 ・・・・・
川場スキー場の次に「サーフライドパーク」の依頼を受けたのは岐阜奥美濃にあるダイナランド。
このスキー場の課題は、廃止を決定したハーフパイプの跡地利用でした。 
本来ハ-フパイプは、深く、左右には高い壁、が、しかし、直線的で距離も長くはありません。
解決策として、ダイナランドの「サーフライドパーク」では、
滑っているうちに自然と左右に振れるように、ハーフパイプの中に小さい雪のアイテムを設置し、
それを避けて左右に振るもよし、飛ぶもよし、と導線を作りました。 
ただ、予め決められた導線ではなく、
自分で考え、自分の発想で、自分だけの導線を取れるように企画しました。
川場スキー場のコンセプトに比べ、
ダイナランドの「サーフライドパーク」で出来ることは限定的でしたが、
流すスノーパークという根幹は守れています。
ダイナランドの「サーフライドパーク」で重要なことは、前回のコラムでお話したマーケティングと考えます。
スキー場にとってハーフパイプは、従来からの継続の点から、あったほうがいい、
無くしてしまったら批判を受けてしまう ・・・・・
しかし、現実のハーフパイプの利用者数、そして利用できる技量をもった方々は限られていました。 
しかも毎日の整備には多くの手間や多額の費用がかかります。
ハーフパイプ廃止については大きな決断であったと思いますが、
「サーフライドパーク」とすることで、
閉鎖的だったゲレンデ施設を、より多くの方々が利用できるようになり、
実際に滑った方々がスノーボードの新しい遊び方に触れて頂きました。
また、ハーフパイプであった時に比べ、
お客様の事故や怪我が少なくなったとも、後にスキー場から伺いました。

スキー場は長らく装置産業 ・・・ ゲレンデがありレストハウスがありリフトがある、
そして時にはハーフパイプを用意して、お客様の来場を待つ産業、でした。 
一方、スキー、スノーボード人口の減少など不況はスキー場にも深刻となり、
一転、積極的にお客様を呼び入れる策を講じなければならなくなりました。
スキー場にも、顧客満足やブランド、リピートしてもらう仕掛けなど・・・・
マーケティングが必要になっています。
もはやスキー場は長年の先入観を棄て、
今、ここに来てくださっている客層を見極め、また潜在している顧客層を模索し、
彼らに何を提供したら喜んでもらえるかを考え、実施すること、これが避けて通れなくなっています。
スキー場のマーケティング課題の解決策のひとつとして、ボードスマートは、
客層や地形を反映し、安全で怪我や事故の起こりにくい高品質なスノーパークの企画、運営に加え、
集客促進や顧客満足調査までを含んだパッケージを提案しています。
次回、4回目は、「スノースタイルパーク」 で働くスタッフについてお話します。

snow column小泉保
1回目 2011/10/5 『日本で唯一、スノーパーク専門会社の立ち上げ』
2回目 2011/10/19 『あればいい…ではなく、差別化、集客促進要因』
3回目 2012/11/2 『課題は新しいアイデアの母…サーフライドパーク』
4回目 2011/11/16 『「スノースタイルパーク」で働くディガーは専門職』
 

 
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