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snow columnSNOW COLUMN 2016/7/6

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加藤健次
1980年生まれ、横浜ネイティブ。B型。乙女座。通訳&翻訳家。身長180センチを超えるヒゲでロン毛な様相のため、1キロ先からでも容易に発見できる。未だ職務質問をされた経験ナシ。20代を始めから終わりまでアメリカはワシントン州でディープに過ごし、ノースウェストのつけ汁にドップリと漬かる。そのつけ汁を今度は白馬という日本のノースウェストで逆に絞り出しながらノンビリと暮らしている。
1回目 2016/6/15 『あの人って何者なの?』
2回目 2016/7/6 『アナドレナイアナログ』
3回目 2016/7/20 『Happy New Season』
4回目 2016/8/3 『Snowboard Connection』

『アナドレナイアナログ』


冬の間はなかなか顔を出せない横浜の実家へ。
親父の荷物置き場&書斎となった元オレの部屋のクローゼットにはまだ私物がグッスリ眠っていた。
その存在すら忘れていて、むしろ遠い昔に実家のものはとっくに処分したんだって思ってた。

この際、ちょっとDIGってみよう。

軽い気持ちで始めたクローゼットの整理はいつの間にか大規模な発掘作業へ。
出るわ出るわの埋蔵物。
中学のときハマって読んでたアメ車の雑誌、洋楽がランダムに入ってる初期の「NOWシリーズ」、
それに伴うちょっとダサめの洋楽CD、ツタヤで借りてダビングしまくったカセットテープ、
今と変わらず爽やかなオレが写ってる高校生の時の写真、
買っただけで作りもしてないタミヤのプラモデル、使い終わったPHSとポケベル、
男のバイブルであるHOT DOGなどなど。

当然の事ながら、この発掘作業が始まると仕事は全くもっと進まない。
往年のHOT DOGお約束特集である「S◯X白書」をまた読み返してみりゃ、
「そうそう、こんな事でアホみたいなこと想像してたわ」って今もあんまり変ってない自分に気がつく。。。
インターネットもSNSもなかった時代、若い男子達はドキドキしながらそっち系の雑誌を読み漁り、
仲間達と共有し、夢と股間を膨らませていた。

と、フとここで気がついた事があった。今は猫も杓子もデジタル世代。
こうやって「たまたま昔の思い出に再会する」なんて流れは
どういう風にオレ達の生活に入って来るのだろうと、少し考えてしまった。

雑誌の良さ。それはページをめくった時のあの独特の紙の匂い。
それと共に目の前に広がる文章と写真が連動したページのインパクト。
自分のタイミングでページは開くことができ、ワクワク感もそれについてくる。
Wifi環境だの回線の善し悪しだの、ましてや画面のデカさなんかも気にしなくていい。
「次のページを見る」ってアイコンをクリックして、
遅い回線に自分のワクワク感のスピードをリンクさせなくてもいいんだ。
このページをめくる面白さはどんな辺鄙な山奥でも、海外でも、それこそ富士山のてっぺんでも変らない。

そのワクワク感は雑誌一冊のキャラクターを決めるカバーページを目にした所から始まっている。
「ほら、去年出たあのスゲーデカいヒールサイドのスプレーをツリーの間であげてる表紙のさ!
あの号の中のあのベーカーでのストーリーヤバかったよね?」って感じの会話はよく聞く。
これは多分何年も前の雑誌の話しをする時も同じルーティーンだろう。
悲しい事にこれがインターネット上の記事になるとなかなか説明が難しい
「Googleに入れて検索してみてよ!ベーカー、ストーリー、あとなんだろ?ヤバい?」とはいかない。
自分たちの思い出を語るにはアナログな雑誌がちょうどいいようだ。
Google検索よりも自分の本棚に行って記憶を探りながら一冊の雑誌を見つける。
大丈夫、表紙の感じはなんとなく覚えてる。そうすればこっちの方が意外と速かったりもする。

写真の感動もやはり、雑誌等の紙媒体だとかなり違う。
どんなにヤバいライディングショットでも、
iPhoneの小さな画面で見るのとA4サイズの雑誌で見るのでは全然違う。
さすがに大画面に写すなんて技は出来ないけどね。
そう言えば昔こんな事があった。
ある雑誌で「ノースウェストのショップ事情」というページのインタビューを受けた事がある。
そのページは自分が働いていた店の写真や同僚の仕事風景がレイアウトされており、
他のページとの連動性もピッタリ。自分の写真が載った雑誌にテンションが上がり、
インタビューページに印をつけ、その一冊を福岡に住む祖母の元へ送ったのだ。
当時84歳。スノーボードなんて全く知らず、もちろん雪山なんて見た事も無い。
でもオレがどんな仲間と、どんな雪の遊び方をしているのか、それを知って欲しかった。
後日電話で「ケンちゃん雑誌ありがとうね。全部読んだよ。いい人達に囲まれて良かったわねー。
それにあの写真!雪山ってきれいなのね。最後のページの方のアラスカ?行ってみたいわー。」と
メチャメチャ嬉しいコメントを話してくれたのを今でも覚えている。
コタツに入りながらみかん片手にスノーボード雑誌を読んでいる姿を想像したらシンプルに嬉しくなった。

何気なく入ったカフェに置いてある雑誌、心臓をバクバクさせながら入る彼女の部屋、仲間の家。
そこに置いてある雑誌を見ると大体その人の趣味や嗜好がわかる。
買っただけでなんだか自分が大人になったような感覚になる雑誌もある。
昔、クラスでエロ本を持ってたヤツはヒーローだった。
ほら、あのよくあるトタンで囲まれたエロ本の自動販売機コーナー。
恐る恐るなかに入り、1,000円札を手に悩みまくってチョイスする一冊。
あのドキドキ感は当時の若いちっぽけなハートには強すぎるドーピングだった。
その一冊を手にチャリンコに乗り6速フルスピード(あの真ん中にギアがついてたチャリンコね)で家へ。
もう既にエロ本を買う前の自分とは違う男がそこに居た。

と、すこし話は脱線してしまったが、デジタルがどうしてもメイン所な今の時代、
アナログな紙媒体の雑誌の良さは山ほどあるという事だ。

アナログと言えばもう一つ。ちょっと関係無いかもしれないが。選挙も近いのでこんな話を。

“I HAVE A DREAM”で有名なマーティン・ルーサー・キングJr。1963年8月28日。
奴隷解放100周年を記念するワシントンの歴史的な大行進は全米から20万人が集まった。
もちろん、この「同じ意見を持った」20万人は決してインターネットやSNSで集まった訳ではない。
テレビで情報を常に見れる世の中からもまだまだほど遠い。
じゃあどうやってこの20万人は集まったのか?それはみんな同じ意見を持っていたから。
その意見を1人1人がリスペクトしあい、仲間外れを作らず、誘い合い、
お互いに高め合った結果がこの大集会だった。
思いっきりアナログな時代でも、こうやって時代は動かされてきた。
デジタルな世の中に生きるオレ達はなにやってんだろうか。

アナログはなかなかアナドレナイ。



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